2015 Fiscal Year Research-status Report
下肢の筋シナジーと腱反射の協関を指標とした転倒予防トレーニング効果の評価
Project/Area Number |
26350669
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Research Institution | Fuji University |
Principal Investigator |
金子 賢一 富士大学, 経済・経営システム研究科, 教授 (50337177)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 表面筋電図 / 筋シナジー / 高齢者 / ぺダリング / トレーニング効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,1.高齢者でも1カ月間のレジスタンストレーニングにより,ぺダリング運動中の下肢筋群の発揮筋力や発火パターンに変化が生じるのか?2.ぺダリング運動を構成する筋シナジーとトレーニング効果が大きい筋との関連性の検討,および,3.下肢のレジスタンストレーニングが転倒予防に与える影響の分析,の3点について研究を行った. レジスタンストレーニングは,前年度に引き続き,8名(平均年齢72.1歳,最高年齢90歳)の地域の高齢者の協力を得て行った.得られたEMG信号にDaubechiesの離散ウェーブレット解析を適用し,20Hzから500Hzの周波数帯を5つに分割した後,それらのエネルギー情報をトレーニング前と1カ月後とで比較した.その結果,高齢者では,1カ月間のレジスタンストレーニングによって,ぺダリング運動の筋シナジーに寄与率が高い腓腹筋と前脛骨筋において,31.25Hzから125Hzの周波数領域でのエネルギーが統計的に有意に減少することが確認された.これは,例え高齢者であっても,トレーニング後では発揮筋力を減少させてより効率的にペダルを漕ぐことが出来るようになったためであると推察した.一方,若者では下腿部の筋活動に変化は認められず,上腿の筋群で62.5Hzから250Hzの有意なエネルギー成分の増加を認めた.これは,トレーニングによりMUの発火頻度が増加したことが原因であると考察した.さらに,理学療法の分野で知見の厚い転倒予防の文献をレジスタンストレーニングとの関連性という視点から横断的にサーベイし,メタ分析を行った結果,転倒予防と下肢筋群のトレーニング効果との関連性が定性的に明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年4月から1年間,米国ペンシルベニア州のピッツバーグ大学School of Healgh & Rehabilitation Scienceにおいて在外研究を行う機会を得て,本研究テーマに関する研究に専念することが出来た.本研究テーマを在外研究の受け入れ先機関と共同研究に発展させたことで,実験やデータ分析を効率的に行うことが出来,グローバルな視点で研究を推進することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度が研究計画の最終年度になるため,研究成果を広く公開することに力を入れる.具体的には,これまでの研究で得た知見をまとめて国際会議で発表し,海外のジャーナルへ論文を投稿する.さらに,共同研究者と共に,7月に米国シカゴで行われる国際会議(ISEK2016)で発表する機会を得たため,国際会議開催日の前日に定例の研究会を開き,研究成果を報告し合うとともに,本研究テーマの総括を行う.
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Causes of Carryover |
実験装置の購入に際して値引き交渉を行い,当初の予算よりも低い価格で機器を購入することができたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
差額分は次年度の物品費購入代金に充当する計画である.
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