2015 Fiscal Year Research-status Report
高強度運動時の呼吸亢進が下肢筋の皮質脊髄路興奮性に及ぼす影響
Project/Area Number |
26350694
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柚木 孝敬 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (00352500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 吉則 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (70233187)
松浦 亮太 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (10551278)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 皮質脊髄路興奮性 / 随意呼吸 / 呼吸筋疲労 / 呼吸努力 |
Outline of Annual Research Achievements |
経頭蓋磁気刺激を用いた最近の研究は、手指筋や四肢筋(= 非呼吸筋)を支配する皮質脊髄路の興奮性が随意呼吸時に増大することを報告している。そこでは、非呼吸筋の安静あるいは静的運動条件に限定されるが、随意呼吸時の呼吸筋を制御する一次運動野領域の活性化が非呼吸筋を制御する一次運動野領域の興奮性を高めるというメカニズムが提案されている。一方、このような現象あるいは神経機構が、不随意的な呼吸活動が活発となる動的運動時にも発現するのか否かは不明である。そこで本研究では、動的運動中の呼吸亢進と下肢筋皮質脊髄路興奮性の関連を検討することを目的とした。初年度は、健常者(n=7)を対象に、脚ペダリング運動中の下肢筋皮質脊髄路興奮性(= 経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位(MEP))を不随意呼吸条件と随意呼吸条件で比較検討する実験を行った。低強度運動(24分、最大酸素摂取量の30%)と異なり高強度運動(24分、最大酸素摂取量の80%)ではMEPの評価自体が困難であった。したがって、当該年度はMEPの安定的な記録を期待して上肢による律動的ハンドグリップを動的運動課題として採用し実験を行った(継続中)。加えて、呼吸筋疲労および呼吸努力の下肢筋MEPへの影響も検討した。前者に関しては、呼吸筋疲労が下肢筋皮質脊髄路興奮性に及ぼす影響は、呼吸筋疲労の進行に伴って興奮性から抑制性に変化する可能性が示唆された(n=8)。後者に関しては、呼吸の主観的努力度の違いによって下肢筋皮質脊髄路興奮性は変化しない可能性が示唆された(n=8)。現段階においては、動的運動時における呼吸亢進と下肢筋皮質脊髄路興奮性の関係は不明であり、次年度に計画されている研究でのより詳細な検討が必要であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実績の概要で述べたように、上肢筋での検討を追加し、さらに高強度運動時に生じていた可能性のある呼吸筋疲労と皮質脊髄路興奮性の関係を追加実験的に確認する必要が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の進捗は遅れているが、研究計画自体に変更はない。次年度は、現在進行中のハンドグリップ実験と同時並行的に脚ペダリング実験を行う。運動中の呼吸運動と四肢運動のリズムを分析することによって、高強度運動中の呼吸亢進と皮質脊髄路興奮性の関連性をより詳細に検討し、最終的には個人差やトレーナビリティの影響を調べる実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究進捗の遅れに伴い、予定していた実験を完了することができなかった。そのため、計画していた実験消耗品や被験者謝金等の支出が発生しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は最終年度となるため、当該年度までに完了できなかった実験も含めて複数の実験を行うことになる。次年度使用額の大部分はそれらの実験に関係する消耗品および被験者謝金に充てる。
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