2014 Fiscal Year Research-status Report
障害のあるトップアスリートの「個別性」を踏まえた包括的な心理サポート方略の構築
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26350747
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内田 若希 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 講師 (30458111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 弘和 法政大学, 文学部, 准教授 (30419460)
吉田 聡美 北翔大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (40599510)
中山 正教 西九州大学, 公私立大学の部局等, 講師 (70709550)
山崎 将幸 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 研究員 (80567199)
橋口 泰一 日本大学, 歯学部, 講師 (90434068)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | パラアスリート / 自己成長 / 競技体験 / 半構造化インタビュー |
Outline of Annual Research Achievements |
障害のあるトップアスリートの心理面の強化については,世界的にみても90年代中頃まで軽視されてきた.近年,欧米諸国では身体面のみならず心理面の強化に本格的に乗り出している.ところがその一方で,スポーツ心理学における科学的データの蓄積や実践研究は国内外をみてもほとんど皆無である.加えて,トップアスリートに求められる心理サポートとは,人間的成長を伴うものであることも重要な視点である.そこで本年度では,障害のあるトップアスリートの心理的競技能力の増強および自己成長を促す支援を含めた,「個別性」を考慮した包括的な心理サポートの構築に向けて,探索的な量的・質的調査を実施した. 量的調査では,日本パラリンピック委員会傘下の各競技団体に所属する314名に配付し,219名から回答を得た (回収率69.7%).このうち,国際レベルの大会への出場経験を有するハイパフォーマンス・アスリート136名 (男性91名,女性45名; 32.6±10.33歳) を分析対象とした.質問項目は,個人特性要因,心理的well-being尺度,心理的競技能力診断検査であった.2要因 (性・パラリンピック出場経験) の多変量分散分析の結果,心理的well-being尺度において有意な交互作用が認められた.下位検定の結果,パラリンピックに出場経験を有する女性において,パラリンピック出場経験を有する男性および経験のない女性と比較し,自己受容得点が有意に低い値を示した.また,女性と比較し男性において,心理的競技能力の複数の下位尺度で有意に高い値を示した. つぎに,質的調査のため,日本パラリンピック委員会より推薦された45名のアスリートに依頼文を送付し,21名より同意を得た.現在,この21名を対象に,インタビュー調査を実施している最中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査協力団体である日本パラリンピック委員会と調査の予定を調整した結果,予定していた人数を対象とすることはできなかったが,当初の計画通り,心理的競技能力および心理的well-beingに関する量的調査および個別性への対応を検討するための質的調査を遂行できている.また,量的調査の成果に関しては,すでに2015年度10月の国際学会へ抄録を申請し,採択通知を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,インタビュー調査を実施し,完了次第,録音データのトランスクリプトを作成してデータの吟味を行う.申請時の予定では,平成27年度に「個別性」に対応した包括的な心理サポートの長期的実践と効果の検証をし,それを踏まえて理論モデルを提案することとしていたが,量的研究および質的研究の成果をつきあわせて先に理論モデルを構築し,それを踏まえて長期的実践と効果の検証を行うこととする.これら一連の成果をを踏まえて,28年度末までに理論モデルの精査を行い,心理的競技能力の増強方略と自己成長に資する方略を検討し,障害のあるトップアスリートの個別性に対応した包括的な心理サポートの提案を目指す.
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Causes of Carryover |
質問紙調査およびインタビュー調査ともに概ね順調に実施できたが,インタビュー調査の一部が日程調整の都合により次年度に持ち越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き,インタビュー調査を実施するための旅費,会議室借り上げ費,謝金が必要となる。また,すべてのデータのテープ起こしを業者に依頼するため,そのための委託費が必要となる。
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Research Products
(15 results)
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[Presentation] Examination of psychological well-being and athletic psychological skills among elite para-athletes2015
Author(s)
Uchida, W., Yamazaki, M., Hashiguchi, Y., Nakayama, M., Arai, H., & Yoshida, S.
Organizer
VISTA Conference 2015
Place of Presentation
AC Hotel Palau De Bellavista(Girona, Spain)
Year and Date
2015-10-07 – 2015-10-10
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