2015 Fiscal Year Research-status Report
障害のあるトップアスリートの「個別性」を踏まえた包括的な心理サポート方略の構築
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26350747
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内田 若希 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 講師 (30458111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 弘和 法政大学, 文学部, 准教授 (30419460)
吉田 聡美 北翔大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (40599510)
中山 正教 西九州大学, 公私立大学の部局等, 講師 (70709550) [Withdrawn]
山崎 将幸 東亜大学, 人間科学部, 講師 (80567199)
橋口 泰一 日本大学, 歯学部, 准教授 (90434068)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | パラアスリート / 自己成長 / 競技体験 / 半構造化インタビュー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,わが国の障害のあるトップアスリートを対象として,個別性を考慮しながら,(1) どのような方略により,心理的競技能力や自己成長が促進されるのか,(2) 関連要因 (障害の種類や障害レベル,受傷時期,受傷経過年数など) がどのように影響するのか,(3) アスリートを取り巻くダイナミックな関係性の中で,どのように心理的変化が導かれたのかを包括的に明らかにすることを目的とする.本年度は,27年度に実施した「障害のあるトップアスリートの心理的競技能力と自己成長の指標である心理的well-beingの関係」に関して,国際発表および学術誌への投稿を行い,成果発表に力を入れた.具体的には,競技選手が実力を発揮するために必要な心理的スキルを心理的競技能力診断検査 (DIPCA. 3; 徳永・橋本, 2000) で,人格的成長,人生における目的,自立性,自己受容,環境制御力および積極的な他者関係の6つの次元に基づく自己成長の指標を心理的well-being尺度 (西田, 2000) を用いて測定し,関連性を提示した.本研究の結果から,障害のあるトップアスリートは,日々のトレーニングの中で,競技意欲や自信を高めることによって,自己成長していくプロセスが示唆された.加えて,障害のあるトップアスリート21名を対象に半構造化インタビュー調査を実施し,質的データの逐語録を作成した.現在は,この質的データの分析を実施している最中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
質的データの分析にやや遅れがみられるものの,これまでの研究成果を踏まえ,障害のあるトップアスリートを対象に,障害の個別性を踏まえた包括的な心理サポート実践を国内のフィールドで長期的・継続的に行うことができた.また,研究成果に関しても,国際学会で発表し,海外の研究者より高評価を得た.この顕著な成果として,スペインのジローナで開催された IPC’s VISTA Conference 2015で,当該研究に関連するポスター発表 (Masayuki Yamazaki & Wakaki Uchida. The case study of sports mental training for boccia athletes) が3rd prize of poster's contestを受賞した.
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Strategy for Future Research Activity |
質的インタビューのデータの分析をすすめ,詳細に吟味していく.ここまでの量的研究および質的研究の成果や,心理サポート実践の成果をつきあわせて理論モデルの構築を目指す.そして,心理的競技能力の増強方略と自己成長に資する方略を提案し,障害のあるトップアスリートの個別性に応じた包括的な心理サポートを提示する.
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Causes of Carryover |
当該年度において概ね順調に研究を遂行したが,質的データの分析が完了せず,成果報告を行うことができなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
質的データの分析を進め,成果をまとめて学会等で報告することとし,未使用額はその経費に充てること としたい.また,3年間の成果をまとめて,論文投稿や学会発表を積極的に実施していくこととする.
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Research Products
(24 results)