2014 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ領域における個人の身体への介入としての科学:性別確認検査を事例に
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26350754
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
高峰 修 明治大学, 政治経済学部, 准教授 (10409493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
建石 真公子 法政大学, 法学部, 教授 (20308795)
田原 淳子 国士舘大学, 体育学部, 教授 (70207207)
松宮 智生 国士舘大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (10741316)
來田 享子 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (40350946)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 性別確認検査 / オリンピック / スポーツ医学 / 身体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では性別確認検査という新たな知識が1930年代にスポーツ領域そして社会全体に普及していく過程を歴史学・法学・社会学の視点から明らかにする。そのためにa)スポーツ医学界の組織化、b)性科学的知識、c)医学会からスポーツ界への知識の伝達、d)社会への伝達と受容、という4つのテーマを設定している。 2014年度はイギリス、ドイツ、スイスの3カ国の実地調査を行い史料・資料を収集した。2015年1月27日から訪問したドイツでは3名がコブレンツ専門大学において、オリンピック研究家であるOtto Schantz博士と面会した。Schantz博士からは1920~30年代の国際オリンピック委員会内におけるアスリートの身体に関する議論についての情報提供を受け、また同時にドイツ国内における20世紀初頭の性科学に関する文献をリストアップしていただいた。 ドイツに引き続いて訪れたスイスでは1名がローザンヌにあるOlympic Study Centerを訪問し、1930年代の国際オリンピック委員会と国際スポーツ医学会との書簡を中心として史料を収集した。 2015年3月4日~8日に実施したイギリス調査では2名がロンドンのBritish Libraryを訪問した。そして1920~30年代、1963年~1973年、1995年~2005年の3期間における図書、雑誌、新聞を対象としてスポーツ界の性別確認検査に関する報道史料を収集した。 以上の現地調査によって収集した史料・資料の整理と分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度に予定していた調査は概ね終了した。しかし、スイス調査においては1)国際スポーツ医学会の資料を入手できなかった、2)Olympic Study Centerにおける史料収集が完全ではない。1)については学会の担当者との連絡はとれており、資料収集の目処は立っている。2)については予算を確保してあるので、2015年度中に再調査を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に研究計画および方法に変更はない。2015年度はまずアメリカ合衆国の現地調査を行い、アメリカ国内における1)スポーツ医学界の組織化、2)性科学的知識、3)性別確認検査という知識の社会への伝達と受容についての史料・資料を収集する。また2014年度のスイス調査で閲覧しきれなかった史料があるので、2015年度中に再度Olympic Study Centerを訪問し、史料収集を完了させる必要がある。 今後は資料の分析と解釈が中心課題となる。研究目標にてふれた4つのサブテーマ、a)スポーツ医学界の組織化、b)性科学的知識、c)医学会からスポーツ界への知識の伝達、d)社会への伝達と受容、に沿って史料・資料を整理し、分析して各サブテーマについて考察する。さらにサブテーマに関する解釈を深め、メインテーマである「性別確認検査という新たな知識がスポーツ競技の場そして社会に普及していく過程」について明らかにする。
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Causes of Carryover |
2014年度に予定していたドイツとスイスの調査を一度に行ったことにより、調査費用を削減することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2014年度に訪れたスイス・ローザンヌのOlympic Study Centerでの調査が時間的制約のために不十分なままで終わっているので、2015年度は再度Olympic Study Centerを訪れ、残りの史料について調査を進める。
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