2014 Fiscal Year Research-status Report
バスケットボールのプレイとプレイヤーの特徴を踏まえた状況判断能力構造のコーチング
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26350805
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
八板 昭仁 九州共立大学, スポーツ科学部, 准教授 (50270062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 領 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (20184054)
倉石 平 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (60367092)
野寺 和彦 玉川大学, 付置研究所, 准教授 (60626860)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 状況判断能力 / バスケットボール / 因子構造 / コーチング方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
バスケットボールを対象に各プレイヤーの状況判断力テストバッテリー(八板・青柳,2012)から様々なプレイを対象に分析し,プレイと状況判断能力の関係を構造化しようとするものである.本年度は,バスケットボールのスクリーンプレイや個人的攻撃局面における状況判断能力テストの結果からそれらの状況判断構造を明らかにし,構造化されたものを基に,それらの因果構造から指導の順次性を検討した. 個人的攻撃局面における状況判断では,状況判断能力テストの結果を探索的因子分析によって要因を検討し,抽出された状況判断能力因子の構造から共分散構造分析を用いて状況判断能力の習得の順次性について仮説的構造モデルを作成して検証した. 「パスプレイの状況判断」,「対峙打破の状態における状況判断」,「対峙の打破を試行する状況判断」の3つの因子にまとめることができ,因子に基づいた仮説的構造モデルを検討すると,3つの状態がそれぞれ独立した「並列型3次因子モデル」,1つの系列で直列的に並ぶ「順列型モデル」,学習の段階において複雑化したり異質化したりする「分化型モデル」,2つ以上のものが関連しながら合わさって1つになる「統合型モデル」が考えられた.それらに抽出された因子を当てはめて分析したところ,3つの因子のそれぞれを並列的に指導していく「並列型3次因子モデル」が最も当てはまりの度合いが高かった. バスケットボールの個人的攻撃局面におけるコーチングでは,プレイの流れによる全体的な状況判断トレーニングだけではなく,より正しい状況判断を理解するための各状況を設定し,その理解に基づいた技術の習得といったトレーニング方法が必要になることが認められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①バスケットボールの状況判断能力の因子構造について,これまでに作成したテストバッテリーを用いて,状況判断能力の構造の存在を明らかにした.そして構造化されたものを基に,それらの因果構造から指導の順次性を検討した.研究結果を投稿し,一定の評価を受けて掲載された. ②さらに,様々なゲーム状況を加えたうえで,より多くの被検者にテストを実施し,プレイヤーの特徴と状況判断能力の関係について明らかにするために,ゲームビデオの撮影を実施し,新テストの一部を作成した. ここまででバスケットボールの状況判断能力の構造化が可能であることが,明らかになったので,研究を遂行できることが確認された.様々なゲーム状況を加えて,より多くの被検者にテストが実施できるよう準備しているところである.これらの新テストを完成させ,作成した新テストを様々な年代(中学生・高校生・大学生)の競技レベルのプレイヤーに実施し,より多くの専門家の判断を反映する評価方法によって採点することができる. 平成26年度中に新テストを完成させる予定であったが,状況判断能力の構造化とその因果構造について検討したため少し遅れてしまった.しかし,その検討によって研究の方法が明確になったので今後の計画はスムーズに進むと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでおおむね順調に進んでいるので大きな方向転換を強いられることはないと考えられる.また,少し遠回りになったと思われるが,状況判断能力の構造化と因果構造が確認されたので,今後は予定通りに進められると考えられる.
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Causes of Carryover |
①研究分担者が予定していた学会に出席できなかったこと ②研究分担者分の被検者手当等の支払手数料が少額で済んだこと 以上の理由から次年度繰り越しとなった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際学会へ出席する 前年度実施できなかった新テストを実施するので支払手数料として使用する. 以上の計画である.
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Research Products
(7 results)