2016 Fiscal Year Research-status Report
運動強度・時間・脱水量と血栓形成発生機序の関連性およびそれに及ぼす老化の影響
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26350900
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
石指 宏通 奈良県立医科大学, 医学部, 教育教授 (50260807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 芳光 大阪国際大学, 人間科学部, 教授 (70144566)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | VWF / ADAMTS13 / 運動強度 / 運動時間 / 脱水 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、運動時にみられる血栓形成関連因子(VWF/ADAMTS13)の変化に及ぼす要因について明らかにする目的で、運動の「時間」と「強度」を取り上げ、その関連性について検討を行ってきた。その結果、生体の血栓形成傾向は運動時間よりも強度に起因していることを明らかにしてきた。本年度は、運動時の強度の上昇に伴う発汗による脱水の程度と血栓形成関連因子の関連性について検討した。 12名の健常な男子大学生を対象に、異なる環境温度条件下(高温環境:32℃、低温環境:15℃)において、血栓形成関連因子に著増がみられる運動強度閾値である中強度(55%VO2max)の運動を45分間負荷した。運動負荷による筋疲労の程度を推定する血中アルドラーゼ濃度の変化は両環境条件下に差はみられなかった。また、高温環境下の体重変動から見た脱水率は1.67%を示し、低温環境下の脱水率よりも有意に高い値を示した。次に運動時の血栓傾向を示すVWF/ADAMTS13(「向」血栓因子に対する「抗」血栓因子の割合)は高温環境下で1.47、低温環境下で1.41と両環境間に有意な差は認められなかった。また、高温環境下における各被験者の脱水の程度と血栓形成関連因子(VWF/ADAMTS13)にも相関関係は見られなかった。これらの結果は異なる環境温度条件下における脱水量の相違は血栓形成関連因子の変化に直接的に影響を及ぼさないこと示しており、運動時にみられる血栓傾向は運動強度に起因していることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は①異なる環境温度条件下での脱水状態が血栓形成関連因子に及ぼす影響を検討するとともに、②これまでに得られた若年者の至適条件(強度・時間・脱水状態)と血栓形成との関連性の老化の影響について、中高年者と若年者を比較することで検討する予定であった。しかしながら被験者の採血に対する負担軽減から条件設定が多段階に及び予想以上に時間を要したため②の実験が遂行できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
運動時にみられる血栓形成関連因子(VWF・ADAMTS13)の至適条件(強度・時間・脱水状態)について、日常的に運動習慣のある中高年者と若年者を比較することで老化の影響を検討する。
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Causes of Carryover |
被験者の負担軽減のため実験の設定条件が多段階に及んだため、今年度予定していた、運動の至適条件と血栓形成との関連性の老化の影響についての実験の一部が次年度に繰り越しとなった。そのため予定分の経費を繰り越しした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は繰り越し分の経費を用いて、運動の至適条件と血栓形成関連因子の老化の影響について検討する。
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