2014 Fiscal Year Research-status Report
複合的設置形態の保育施設における建築環境計画に関する研究
Project/Area Number |
26350925
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
田中 稲子 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 准教授 (60345949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 律江 横浜市立大学, 国際総合科学部, 准教授 (00397085)
古賀 誉章 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (40514328)
松橋 圭子 鎌倉女子大学, 児童学部, 准教授 (50710745)
船場 ひさお フェリス女学院大学, 音楽学部, 講師 (60511235)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 保育施設 / 複合型 / 建築環境 / 空気質 / 温熱環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
①横浜市において待機児童解消を目的として増設された平成23年4月以降に開所した施設を対象として,平成26年冬季に行った施設計画に関するアンケート調査結果を分析することで複合型施設の実態を把握した。有効回答数82件(38.1%)について,51.2%が複合型施設であり,0~2歳児の保育を行う小規模保育形態の施設に集中していた。また,複合型施設のうち,NPO型家庭的保育事業は主に住宅と,認可保育所と横浜保育室では店舗やオフィスと複合的に入居していた。さらに,設置場所により分類したところ87.5%が接地していたが,別の用途が同階や下階にある施設もあり,音への配慮が求められる施設の存在が明らかとなった。認可保育所と横浜保育室は開所する際に面積がある程度確保でき1階部分を使用できるため店舗からの転用も多く,商業地域に立地されている可能性が高く,室内環境の影響を考える上で立地による検討も必要である。 ②H27年秋季に複合型施設3件に対してヒアリング調査を行ったところ,保育方針や保育士の意識によって窓開閉の仕方は異なるが,登園前と午睡明けでは3施設に共通して窓開けによる換気が習慣的に行われていることが分かった。H,I保育園では,午睡中に幹線道路の交通音や防犯,それ以外の時間帯も排気ガスが窓を閉める要因になっていた。実測調査からも,I保育園では二酸化炭素濃度が1000ppmを上回る時間が長く,排煙窓のみ開けた状態でも二酸化炭素濃度は低下しておらず,十分な換気を行うための対策が必要である。一方で,保育の一環として外気に触れさせることが意識されているT保育園では,I保育園と同規模であるが,二酸化炭素濃度は1000ppmを下回っていた。天井高や換気扇能力の差による影響もあるが,今後は調査対象を広げ,窓開放に対する制約による室内環境のデータを蓄積し,立地や設備特性ごとにデータを整理する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査対象地である横浜市において,近年開所した保育施設の施設形態に関するアンケート調査結果を分析することで,平面的な分類は今後の課題として残るものの,複合的設置形態の保育施設の実態把握を概ね行うことができた。また,この結果から3件の複合型施設を選定して,ヒアリング調査および実測調査を実施することで,2年目に行う予定の温熱環境および空気質,音環境の調査計画の要点を整理できたことから,ほぼ順調に研究は進んでいるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
①施設の分類(立地・平面) 昨年度行った居室位置による分類に加えて,アンケート調査結果から立地特性および平面による複合型保育施設の分類を行う。 ②保育施設の室内環境の実態調査 昨年度に引き続き,①の分類結果を踏まえ調査対象候補を抽出する。さらに、室内の幼児と保育者の行動観察および温湿度等の物理的な環境計測を行い、比較評価に向けたデータの蓄積を行う ③室内環境の基準等、制度上の課題整理 上記①②の結果の考察として、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」や「児童福祉法」等の現状の関係基準や文献調査から,複合型保育施設における室内環境保全に対する制度上の課題を整理する。
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Causes of Carryover |
保育施設のヒアリング調査や建築環境の測定を先行して行ったため,保育施設の平面的な特徴を抽出する施設分類の課題を次年度に行うことになった。このことから次年度の使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
事前に行っていたアンケート調査の際に得られた施設平面図から,複合型保育施設の平面分析を行い,建築環境の観点から複合型施設の分類を行う。
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