2017 Fiscal Year Research-status Report
子どものピア関係の発達といじめ発生の関連における臨床発達的研究
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26350929
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小林 勝年 鳥取大学, 地域学部, 教授 (30326623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 千枝 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (00412916)
田中 大介 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (20547947)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | いじめ / ギフテッド / 仲間関係 / 情動調整 / 関係性攻撃 |
Outline of Annual Research Achievements |
いじめ臨床研究として同世代の子どもと比較して突出した才能を持つ子ども(Gifted)の事例研究よりいじめリスクの高さを示すことができた。すなわち、高知能指数児はその認知能力の高さ故に学力においては抜群の成績を残しているが、人間関係を論理的に処理したり予定調和的な志向が強いことから学校生活での不適応を招く可能性が高く、とりわけ仲間関係においてはいじめの加害者や被害者になりやすい傾向が示唆された。この成果は日本発達心理学会第29回大会において「発達障害のある高知能児の仲間関係といじめ被害―学童期縦断的研究を踏まえてー」という題目でポスター発表された。 また、加害者が生まれる背景として幼児期の仲間関係における他者を排除するといった関係性攻撃が見られるが、この関係性攻撃が生じにくい幼児期の仲間関係を捉えることは、児童期以降のいじめ防止につながると解釈され、幼児期の情動の発達と社会性の発達の関係性について仮説化を試みることができた。そして改めて以下のような研究プランを作成した。 先ず、幼児用社会性発達チェックリスト(本郷ら2018)を用いて幼児の社会性を把握し、情動発達については幼児に実験を実施する。 実験は幼児に情動調整(理解と表出および抑制)が必要になる仮想場面を提示し、自分だったらどのような情動が生起すると考えるか、またどう行動すると考えるかを質問する。社会性チェックリストの結果から得られた社会性の高低と情動調整の関係を検討し、仲間関係に影響を与える社会性と情動発達の関連性を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
我が国における「いじめ」と海外における「いじめ」の定義が異なることや海外での調査協力校の選択・依頼等の手続作業に時間を要し、海外調査実施において遅滞が生じた。また、幼児期における情動と仲間関係に関連する実験研究の開始が遅延したのは社会性発達チェックリストの選定に時間を要したためと、実験をするにあたり保育所・幼稚園(保育者・保護者等)への説明と了解を得るための時間を要したからである。
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Strategy for Future Research Activity |
ロシア・韓国等において学童期における仲間関係といじめ実態に関する質問紙調査を実施する。それによって文化的な影響も加味しながら学童期の仲間関係といじめ発生のメカニズムについてこれまで国内において発表された田中(2010)、中井(1996)らを参考にしながら「いじめ発生」のモデル化を試みたい。また、幼児期の社会性測定と情動関係に関する実験研究は今年度7~9月に実施予定となっており、その後は速やかにデータ解析作業に移行し研究成果をまとめたい。
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Causes of Carryover |
海外調査が延期となり研究期間の延長をしたため
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