しつけと虐待の境界に不安をもつ母親への支援研究

2014 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 26350941
• Research Institution: Jikei University School of Medicine
• Principal Investigator: 細坂 泰子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (90459644)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 茅島 江子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70125920) ; 中野 美穂 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (00554031)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: しつけ / 虐待 / 育児不安 / 質的記述的研究 / 境界

Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、学童前児童を養育する母親が、子どもへのどのような養育行動をしつけもしくは虐待と認知するのか、その境界を記述することで、育児不安をおこす養育行動をあぶり出し、リーフレットで広く周知することで、母親を支援する示唆を得ることである。
本研究は2部構成となっており、研究1では「しつけと虐待の境界の記述的研究　学童前児童を養育する母親から語られる育児体験から」を行い、学童前児童を養育する母親に対し、しつけと虐待の境界について、物語られる育児行動に着目して分析し、明らかにすることを目的としている。同時にこれらの結果は育児を行うすべての母親に広く周知する必要があることから、研究１の結果を踏まえて研究2として「しつけと虐待の境界リーフレットの作成とその評価」を実施する予定である。研究２で作成したリーフレットは冊子体およびインターネットを用いたPDFによる無料配布を行い、広く周知する予定である。
研究1はH26～27年度に実施予定であるため、まずは研究１の倫理審査を学内倫理委員会に提出し、受理された。
本年度は初年度であり、研究１の「しつけと虐待の境界の記述的研究　学童前自動を養育する母親から語られる育児体験から」を実施した。研究計画書に従い、無作為に抽出した関東地区の保育施設50か所に研究参加依頼のポスターを送付し、研究協力者を募った。同時に育児サークルでのポスター配布や学童前児童を持つ母親のサークルを通して参加協力を依頼した。インタビューは当初30名の予定で、現時点では26名のインタビューを終了した。インタビューは1時間から1時間半程度、半構造化面接によって個別に行い、しつけと思っているが虐待ではと迷ってしまう経験の語りや、母親のしつけと虐待の定義など、インタビューガイドに沿って行った。なお参加者には全員、口頭と文書による研究説明を行い、倫理的な配慮を怠っていない。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

まず研究計画書に沿って大学内倫理審査（26－081 7586)を受理した。本研究は2部構成となっており、研究1では「しつけと虐待の境界の記述的研究　学童前児童を養育する母親から語られる育児体験から」を行い、その結果を踏まえて研究2として「しつけと虐待の境界リーフレットの作成とその評価」を実施する予定である。研究1はH26～27年度に実施予定であるため、まずは研究１の倫理審査を学内倫理委員会に提出し、受理された。
同時に研究テーマに関連する研究レビューを作成した。
本年度は初年度であり、研究１の「しつけと虐待の境界の記述的研究　学童前自動を養育する母親から語られる育児体験から」を実施した。研究計画書に従い、無作為に抽出した関東地区の保育施設50か所に研究参加依頼のポスターを送付し、研究協力者を募った。同時に育児サークルでのポスター配布や学童前児童を持つ母親のサークルを通して参加協力を依頼した。インタビューは当初30名の予定で、現時点では26名のインタビューを終了した。インタビューは1時間から1時間半程度、半構造化面接によって個別に行い、しつけと思っているが虐待ではと迷ってしまう経験の語りや、母親のしつけと虐待の定義など、インタビューガイドに沿って行った。なお参加者には全員、口頭と文書による研究説明を行い、倫理的な配慮を怠っていない。
現在、得られたインタビューデータを逐語録に変換し、質的な分析を行っている。当初、Giorgiの現象学的方法での分析を予定していたが、本研究テーマがヒューマンサービス領域であること、解決に研究結果を応用していく必要があること、現象がプロセス的要素を持つことから、グラウンデッド・セオリーのm－GTAを用いて分析することとした。現在、データを精読し概念やカテゴリーを抽出している最中である。

Strategy for Future Research Activity

インタビューで得られたデータの逐語録を早急に分析する予定である。カテゴリーや概念を抽出し、すべての事例でその具体例や反対例を抽出しつつ、概念間の相互作用性を分析する予定である。
得られたデータは学会発表や論文として広く周知し、可能であれば今年度中に何らかの成果を公表する予定である。
その上で研究２の研究計画書を練り直し、今年度中に倫理審査を通したうえで、リーフレットの作成およびその評価を実践したい。リーフレットの評価は実際に学童前児童を養育する母親50名を当初予定していたが、対象者や人数が妥当かどうか、共同研究者と引き続き検討していきたい。

Causes of Carryover

本研究は当初の予定通りに研究実施が進んでいる。ただし、インタビュー実施が予定よりやや後ろに2か月程度ずれ込んだことから、インタビューデータの逐語録の業者依頼が半数程度来年度にずれ込んだ。また研究レビューの作成や研究データ発表に伴う旅費を今年度に申請予定であったが、データの分析が遅れたために、来年度以降の発表となった。以上の理由により本年度分の予算を来年度に回すこととする。

Expenditure Plan for Carryover Budget

すでにインタビューデータは業者に送付済みである。質的データの逐語録への委託費（謝金）および研究１の成果報告（学会発表および論文化）に伴う旅費費用を予定している。