2014 Fiscal Year Research-status Report
RNA-Seq解析を用いた植物物質生産制御因子の単離及び最低解析数の統計学的検証
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26350967
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Research Institution | Kazusa DNA Research Institute |
Principal Investigator |
鈴木 秀幸 公益財団法人かずさDNA研究所, バイオ研究開発部, グループ長 (80276162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 一彦 近畿大学, 農学部, 教授 (00199796)
尾形 善之 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (90446542)
水谷 正治 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60303898)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | RNA-Seq解析 / ネットワーク解析 / 生合成関連酵素 / 転写因子 / 除虫菊 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、RNA-Seq解析を用いた植物の物質生産制御因子の単離及び最低解析数の統計学的検証を行うために、解析ソフトの改良、RNA-Seq解析のデータ取得及び物質生産に関与する転写因子の単離を行うための効率的な実験計画を提唱することを目的としている。 本研究課題の中核を担う相関ネットワーク解析ソフト(金平糖Java-GUI)が搭載する、相関係数で描画する遺伝子ネットワークの外側と内側の関係性(トポロジー)を考慮しながら閾値を自動で設定する独自のアルゴリズムに関しては、本研究課題の開始時点で概ね開発が完了していた。そこで今年度は、汎用的な遺伝子共発現データ(DNAマイクロアレイデータ、次世代シークエンサーで得られるRNA-Seq解析データ)に対応した入力形式の拡大及び遺伝子共発現ネットワークの描画機能の強化といった改良を実行した。現在、いくつかのバグ未修正を除き、簡便な操作で実行可能な解析ソフトに改良することができた。 また、ピレスリンを蓄積するキク科植物の除虫菊を実用植物の例として採用し、組織・器官の違い、ピレスリン蓄積量の増減を示す種々の処理の有無等、由来の異なるRNAを取得し、RNA-Seq解析データを獲得した。具体的には、葉、茎、根、蕾、5種の匂い成分処理を施した各全草とそのコントロール、脱分化したカルスなど、合計24個のRNAサンプルの抽出を行い、Hiseq1500 Rapid分析(Paired-end 100bp)にて、FASTQファイルデータを取得し、de novo assembly及び各組織での遺伝子発現量解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度、金平糖アルゴリズムを搭載した金平糖ネットワーク解析(Java-GUI)ソフトの改良が終了し、ピレスリンを蓄積するキク科植物の除虫菊のRNA-Seq解析のデータ取得も終了している。また、モデル植物であるシロイヌナズナ及びトマトの公開DNAマイクロアレイデータの大量データの取得も終了し、次年度からのデータ解析基盤の整備が終了している事から、本研究課題は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
除虫菊由来のRNA-Seq解析のRPKM 値のデータを用いて、上記の改良型解析ソフト(金平糖Java-GUI)にて、相関ネットワーク解析を行う。具体的には、ピレスリン生合成経路に関与する非メバロン酸経路の関連酵素、オキシリピン経路の関連酵素及び鍵酵素であるピレスリン合成酵素(GDSL lipase like acyltransferase)に注目して、遺伝子共発現ネットワークモジュールの抽出を行う。また、抽出されたピレスリン生合成遺伝子群のモジュールメンバーから、未だ遺伝子単離がされていないピレスロロン合成酵素(4'位の水酸基を導入する酵素:P450)及び転写因子の候補遺伝子の選抜及びクローニングを行う。 研究計画が滞る要因として、相関ネットワーク解析で転写因子の候補が複数選ばれることが想定される。その場合には、ピレスリン合成酵素と最も高い相関係数の転写因子に絞る方針である。一方、転写因子の候補が選ばれない場合には、Myb様転写因子のみを選択して、再度相関ネットワーク解析を行い、転写因子を選抜するといった対策を講じ、円滑に研究課題を遂行する。 さらに、モデル植物であるシロイヌナズナ及びトマトの公開DNAマイクロアレイデータの大量データを用いて、既知の二次代謝産物(例えば、アントシアニンやグリコシノレートなど)に関与している転写因子に注目して、必要な最低解析数を考察する方針である。
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Causes of Carryover |
研究分担者である神戸大学において、トマトのアレイデータでの遺伝子共発現解析が若干遅れた事により、予算消化のタイミングを逸した。H26年度は、本研究課題の研究テーマのひとつである解析ソフトの強化と近畿大との除虫菊のRNA-Seq解析に集中した事により、神戸大学とは、メールでのやり取り及び神戸大学での打ち合わせが一回行われたのみであったことが要因のひとつであると考える。これを踏まえ、H27年度はかずさDNA研究所と神戸大学の連携研究を強化する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究分担者である神戸大学において、次世代RNA-seq解析のためのRNAサンプルを抽出する試薬の購入費、並びにRNAサンプルを郵送するための送料として使用する。さらに、連携強化のため、かずさDNA研へ出張する予定であり、その旅費として使用する。
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