2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26360017
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
小針 進 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (40295548)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 日韓関係 / オーラルヒストリー / 朴正煕 / 金大中 / 韓国 / 北朝鮮 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、「現在までの進捗状況」で詳述するが、本務先での予期せぬ役職就任のため研究の遂行ができなった(「補助事業期間延長」は承認済み)。 平成27年度までは、1.康仁徳・元韓国統一部長官に対するオーラルヒストリー実施とその記録化作業、2.崔書勉・国際韓国研究院院長に対するオーラルヒストリー実施とその記録化作業を、それぞれ連携研究者、研究協力者と共に取り組んだ。 平成27年度の場合、康仁徳氏へのオーラルヒストリーはソウルで、崔書勉氏へのオーラルヒストリーは東京で、それぞれ集中的に実施した。両氏とも日韓関係に深くかかわってきた要職にあったものだけが知るファクトを多く証言し、ひとまずの締め括りができた。 その際、康仁徳氏に対しては1998年から現在までの事象をとした。いっぽう、崔書勉氏に対しては1979年から現在までの事象を対象とした。前者では、金大中政権下での最初の統一部長官として取り組んだ対北朝鮮政策、退任後の各政権下の南北朝鮮関係の見方、「太陽政策」という呼称にこだわる金大中と、これに否定的だった康仁徳氏の間で緊張関係の存在などが浮き彫りとなった。後者では、朴正煕大統領の死と、その後の韓国社会と日韓関係の展開、日本の政界の動揺、娘の朴槿恵が疎外されていった点、全斗煥政権が「韓国大学校」を日本に作ろうとしていたという証言などがあった。 また、両氏のオーラルヒストリーの記録化、つまり「録音起こし」の作業も並行して行った。ここから話者の了解を得ながらの校閲作業を行っているが、まだ公開できる段階ではない。公開ができる段階になれば、公共性の高い研究となるものと期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本務先で教授職と兼務する形で、平成27年4月から事務局の学生部長に就任した。これは本科研費の申請および採用決定の時点では予期できないものであった。28年度は学生部長が管轄する業務で、様々な問題や課題が発生し、計画通りに研究を成し遂げる状況ではなくなってしまった。このため、学生部長の任期が切れる29年4月以降に本研究を再開すべきだと判断し、28年度は本研究を行わなかった。 ただし、平成27年度は康仁徳・元韓国統一部長官と崔書勉・国際韓国研究院院長に対するオーラルヒストリー実施は計画通りに実施でき(康仁徳氏は8月、崔書勉氏は7月と12月)、ひとまずの締め括りをすることができた。その記録化作業も順調に進展していた。予想以上に録音分量も増えたため、話者側の記録草稿チェックを含めて、今後、記録化作業は完成の段階までにはこれから1年を要するであろう。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、平成26~27年度に実施し、ひとまず締め括った康仁徳氏と崔書勉氏の証言に対する記録化作業を本格化させなければならない。関係資料の収集も実施する予定である。 9月までに録音起こし速記作業と証言の検証作業と、2月までに録音起こし原稿完成---というスケジュールを組んでいる。年度内にその記録の冊子化を実現させたい。その過程で、代表者、連携研究者、研究協力者との研究会を2度程度実施し、康仁徳氏と崔書勉氏への証言確認作業のため、ソウルへも出張予定である。これらは、28年度に行おうと思っていた計画とほぼ同じである。 なお、両氏とも、今年、大統領を罷免された朴槿恵を知る人物であるため、この1年間の韓国社会の動きもインタビューする必要が生じた。
|
Causes of Carryover |
前述したように、本務先で教授職と兼務する形で、事務局の学生部長に就任し、平成28年度は学生部長が管轄する業務で、様々な問題や課題が発生し、計画通りに研究を成し遂げる状況ではなくなってしまった。これを受けて、学生部長の任期が切れる29年4月以降に本研究を再開すべきだと判断し、28年度は本研究を行わなかったためである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、過年度までのオーラルヒストリー対象者(話者)の証言に対する記録化作業を本格化させる。録音起こし速記作業、証言の検証作業、原稿完成、冊子化などの経費、その過程で必要な研究会および話者への証言確認作業のため、出張経費としても使う予定である。
|