2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26360023
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
中生 勝美 桜美林大学, 人文学系, 教授 (00222159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 洋 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (00194861)
渡辺 修一郎 桜美林大学, 自然科学系, 教授 (20230964)
中村 衛 琉球大学, 理学部, 准教授 (60295293)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 極大波浪の遡上範囲 / 有孔虫 / 骨粗鬆症 / 骨密度測定 / 環境放射線 |
Outline of Annual Research Achievements |
津波調査に関しては、極大波浪の遡上範囲を数値計算で再現・推定する方法を導入し、岩塊が波浪・津波のどちらの原因で移動したか見分ける手法を確立し、津波で移動した可能性の高い岩塊に付着する二枚貝・サンゴ化石の炭素14年代測定をおこなった。採取したサンプルから、イベント層に含まれる有孔虫(海生動物プランクトン)の生息環境を解析し、有孔虫の移動原因が波浪か津波かを明らかにし、これらイベント層各層の成因をそれぞれ解析した。これについては、関連する論文を発表している。 健康調査に関しては、前回の健康アンケートの結果、既往症として骨粗鬆症に罹患した老人が多いことが判明したので、骨密度測定器による健康調査を実施した。調査は、測定希望者に健康アンケートを取り、総数61人のデータを取った。その内訳は年配の女性を中心に、比較の対象として若年層、男性の被験者を測定した。その結果、全般的に骨密度は正常値を示しており、閉経後の女性が急速に骨密度が減少すると判明した。 環境放射線に関しては、山上にある湖2か所、およびバックグランドとして周囲の水芋畑から泥を採取し、そこに蓄積された放射性物質の測定を行った。測定に関しては、湖底にパイプを挿入し、そこで採取した泥を1センチごとに輪切りにし、それぞれのサンプルについて放射性物質の測定を行った。サンプルを解析したところ、核廃棄物貯蔵場の周辺での放射性物質の飛散はみられないという結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
津波調査に関しては、当初の計画通り、順調に調査が進んでいる。岩塊が波浪・津波のどちらの原因で移動したか見分ける手法を確立し、津波で移動した可能性の高い岩塊に付着する二枚貝・サンゴ化石の炭素14年代測定をおこない、これについては英文で査読付きの論文を発表した。その論文はMamoru Nakamura et al, “Numerical simulations to account for boulder movements on Lanyu Island, Taiwan : tsunami or storm?”, Earth, Planets and Space 2014,66-128 健康調査に関しては、各健康指標を検討する際の基礎資料として次の人口動態統計を把握する。出生・死亡による自然増減、転入・転出による社会増減、結婚・離婚による所属変化等の人口動態統計に関して、台湾大学医学部図書館にて、必要な統計数値の把握をした。現地での骨密度測定と、それに付随する健康アンケートは、100近くのサンプルを取得することができた。 島民の疾病構造とその変遷を、有病率、受療率、死因別死亡率等を調査する予定であったが、骨密度測定に時間がかかり、前回の調査ではこの点が実施できなかった。今年度の調査で、この点を補充したい。 環境放射線の調査は、サンプルの採取、持ち帰り、分析と順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
津波調査に関して、台東県成功鎮の海岸で、太田教授のグループがトレンチ調査で津波の痕跡を発見したので、その点の痕跡を面として把握するため、電磁波を使った地層調査を実施したい。これは、東北大学のチームが開発した電磁波による地層探査の方法を応用し、以前、別の掘削調査で津波の痕跡が判明した場所で、その地層がどのレベルまで分布しているのかを解明する。また蘭嶼調査は、津波の痕跡が残る可能性のある地形についても、追加して調査する必要性が出てきて、リモコンのヘリコプターを使い、徒歩で近づけない海岸の地形を調べることを目標とする。 健康調査に関しては、台湾の別の先住民の集落で、今までと同じ調査項目の健康アンケートを行い、その生活状況から比較を行う。具体的には、以前も滞在したことがある台東県のブヌン文化村に隣接する集落でアンケートを行う。まず、ブヌン文化村で働く若い人たちにアンケートを行い、それと同じ内容のアンケートを、各自が自宅に帰って家族、近隣の人たちからアンケートを取るという方式で、150人程度のサンプルを集めたい。蘭嶼島については、老人介護施設の職員とともに、関節炎、骨粗鬆症に対応する日本の運動療法をどのように地元文化に適応したかたちで応用、導入できるかを検討する。 環境放射線は、台東県での環境放射線調査、および蘭嶼島での核廃棄物貯蔵場近辺での土壌調査を継続して行う。
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Causes of Carryover |
首都大学東京の大学院生の出張費用を、当初首都大学東京の分担金から支出する予定であったが、事情により研究代表者の方から支出したため、予算計画に大幅な変更を余儀なくされた。本年度の支出で、未請求部分が多くあり、次年度予算で請求する予定なので、実際は次年度使用額は残っていないのが実情である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、外部資金による補充を考えており、全般的に不足分を補うことにしている。
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Research Products
(4 results)