2015 Fiscal Year Research-status Report
般化被害としての風評被害が観光に及ぼした影響の特異性:原発事故からのリジリエンス
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26360074
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Research Institution | Hakuoh University |
Principal Investigator |
仁平 義明 白鴎大学, 教育学部, 教授 (10007833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 拓 いわき明星大学, 教養学部, 助教 (10577828)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 原子力発電所事故 / 風評被害 / 観光 / 心の回復 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず,研究の鍵概念となる「心の回復」(リジリエンス)に関する世界の研究が本年度までどう展開してきたか,文献研究による整理を再度行った(『児童心理』,仁平,2016「レジリエンス研究の展開」)。その結果,とくに,「resilience (resiliency)」をキイワードとする世界的な研究は,この5年間だけでも5000件を超えていることが確認された。この研究急増のスピードは関連領域では前代未聞ともいえる。このことは,いかにリジリエンス研究が,災害からのリジリエンスの問題を含めて,世界的な問題になっていることを示すと考えられる。 また,昨年度実績に記載した業績『東日本大震災と被災・避難の生活記録』(2015)は,被災地の『岩手日報』(2015.3.25.)が読書欄「郷土の本棚」のほとんどすべてのスペースを割いて,執筆担当をした部分の調査結果と結論について紹介を行っている。 2015年度には,先年,日本学術会議「災害に対するレジリエンスの構築分科会」主催シンポジウムで発表を行った内容を『学術の動向』(2015年7月)に「災害からのレジリエンス―被災者側の視点」(44-54)として執筆公表した。 さらに,2015年1~2月と2016年1~2月には,福島県と栃木県の328名の大学生を対象に調査を行い,般化が起こりやすい人ほと福島県産の農畜産物・水産物に対する購買意欲が低いが,原発事故からの時間経過とともに購買意欲が回復してきていることも示唆されることを確認した。この結果は,「般化被害としての風評被害:大学生を対象とした調査からの検討」というタイトルで発表を行った(佐藤拓・仁平義明,2016年3月14日,東日本大震災研究交流会,明治学院大学)。 なお2016年3月には,大学生を対象として観光行動について共同聴き取り調査を行ったが,結果は,整理次第,発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究者の所属機関である白鴎大学大行寺キャンパスが2015年9月10日から11日にかけての関東・東北豪雨にともなう洪水で,1.8mの深さまで浸水する被害に遭遇した。専攻の心理学実験室が3室とも床上1.5mを超える浸水にあい,実験機器だけでなくパソコンのデータも失われる壊滅的な被害を受けた。当該研究のデータも一部失われたほか,研究代表者が学部長を務めている関係上,学生の安否,被災状況の確認,学部の復興のために,長期間にわたり予定エフォート率を著しく低下させざるをえない状況に追い込まれたためである。とくに,宿泊をしないと「本音」を聴き取りにくい観光地の宿泊施設聴き取り調査が停滞した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度,九州で大地震が発生し,熊本県をはじめ震災被害が生じた。これに伴って九州でも風評被害ともいえる現象が起こってきている。当初の研究予定では,東北大震災と福島原子力発電所事故に伴う風評被害及びその対照群として他の観光地での状況について研究を行う予定であったが,九州地方の風評被害を積極的に原子力発電所事故が無い条件での風評被害群として位置付けながら研究する意味が大きいと考える。したがって,最終年度での研究では主要対象地域に九州地方も含めて研究を実施することとしたい。 また,自らが洪水の災害にあったために停滞した,観光地に宿泊しての聴き取り調査については,ようやく大学と専攻実験室等の復旧ができたので,最終年度に集中的に聴き取り調査を行うことでキャッチアップをはかる。
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Causes of Carryover |
研究進捗状況に記載したように,研究代表者の所属機関である大学キャンパスが豪雨にともなう洪水で浸水する被害に遭遇した。当該研究のデータも一部失われただけでなく,研究代表者が学部長を務めている関係上,長期間にわたり予定エフォート率を著しく低下させざるをえない状況に追い込まれたためである。とくに,宿泊をしないと「本音」を聴き取りにくい,観光地の宿泊施設聴き取り調査が停滞した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度,集中的に観光地の宿泊施設に聴き取り調査を行い,研究費の使用をする。また,海外への論文発表を行うために積極的に英文論文の作成を行うので研究費の使用が必要になる。さらに,本年新たに九州地方で起こった大地震に伴う風評被害の調査を研究対象に含めるために比較的多額の旅費が必要になった。
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