2015 Fiscal Year Research-status Report
マイクロデータを用いた東アジアからの観光客のインバウンドツーリズム特性分析
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26360092
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Research Institution | Nippon Bunri University |
Principal Investigator |
本村 裕之 日本文理大学, 経営経済学部, 教授 (40352421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今西 衞 日本文理大学, 経営経済学部, 准教授 (80446111)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | インバウンドツーリズム / モデル再構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年間の当初計画では、平成26年度は、中国・上海から訪れる来訪者を対象とした調査を行い、平成27年度に韓国からの来訪者を対象とした調査、並びに前年度集められたデータの分析を行う予定であった。そのため、交付決定直後より、参加学会で情報収集を行い、調査協力をいただく関係機関への依頼や調査のための出張を伴う下準備を積極的に行っていた。 しかし、当初は調査の精度を高めるため中国系・韓国系訪日観光客の集票時期を異にすることを考えていたが、実施に当たり関係機関と交渉する過程で、分けて集票することは着地ベースで行われる調査の性質上非効率的であるとの指摘を受けた。また、国際関係の安定下であれば、集票時期を異にしても特に問題はないと思われるが、平成26年現状での変化の起こりやすい対日感情の中で、集票時期を別にすることは、分析を行う上で適当ではないのではないかとの予測の下、調査時期を変更することとした。また同時期に、研究グループ外の国内の研究者らと議論を行う中で、新たなアイデアを得、新規のモデルと分析方法の修正を反映させた結果、調査票自体の作表見直しの必要性が生じ、かなりの修正を行うこととなった。更に、平成25年度以降顕在化した、いわゆる「爆買い」によるノイズは小さくないものであり消費行動分析においては、正確な分析が困難であると判断した。またいわゆる「爆買い」も主体となる中国人経済の現況を見ると一過性の可能性が高く経過措置を置くことで安定的な水準へ移行すると思われる。実際、平成27年度中にやや減速感が見られたとの市場観測より、平成27年度の実査も見送ることとした。当初の予定通りに計画が進まなかったことは残念ではあるが、効率的な調査を行い、より効果的な分析結果を得るため、予算の持ち越しが可能となる基金の性質を生かし、平成26年度、27年度は次年度に集中して調査分析を行うための準備期間とし、調査計画の精査に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度実施予定であった調査に関しては、上記研究業績の概要で触れた通り、実施を見送った。これは第1に、いわゆる「爆買い」によるノイズの発生を考慮し、第2に外国人観光客の対日感情を勘案したものであり、研究の精度を高めるために必要な措置であったと考えている。調査開始時期に遅滞が生じたものの、計画全体としては完成に向けて問題ないと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、前年までに完了予定であった中国系訪日観光客への調査と、韓国系訪日観光客への調査を集票が期待できる夏から秋にかけて2地域同時に行うこととする。 アンケート調査がもとになる研究のため、まず問題となるのは非標本誤差の発生である。一時期に、多量の調査票を扱うことになるため、協力頂く空港や海港、調査会社ら関係機関との連絡を密にし、回収効率を高め、より効果的な調査をすることに留意しなければならない。 もし十分な有効票数が得られなかった場合は、明けて平成29年の春節(旧正月)の時期まで含めて集票を行うことを計画している。 研究代表者らが所属する学会において、平成28年初冬の報告を目指すとともに、より効率的な計画運用を行っていく。
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Causes of Carryover |
改訂した計画では平成27年に行う予定であった調査を、いわゆる「爆買い」のノイズ回避のため、実査順延とした。またこれは、研究実施にあたり関係機関と交渉する過程で、分けて収集することは着地ベースで行われる調査の性質上非効率であるとの指摘を受け、調査効率と調査の信頼度を高めるために、2年目のみで行うとことしたため当該年度調査費用に掛かる部分を平成27年度へ次年度繰越としたものであった。 これにかかる部分を全て平成28年度へ次年度繰越とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度予定していた、来街地ベース調査(福岡・長崎・佐賀)、調査票回収、調査表作成、データ入力、調査管理謝金、並びに調査に合わせ発生する人件費・謝金を、本年度夏から初冬にかけて発生する調査予算に併せ使用する。調査経費は事後的に発生するため、目標有効票数に達しない場合は、平成29年度年初から春節(旧正月)の訪日観光客が見込める時期に追加調査を行う。しかし、この時期の購買行動は春節効果もあり、通常の購買行動より割増しになる傾向があり、いわゆる「爆買い」に近いものが発生する恐れがあるため、出来るだけこの時期まで掛からないように、調査員の追加投入など調査機関と交渉を密にし、研究完了に遅滞が発生しないように計画している。 また前年度使用のほとんどなかった物品費も年度頭より逐次利用し、研究完了に遅滞が生じないことを計画している。
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