2014 Fiscal Year Research-status Report
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26370019
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
周藤 多紀 京都大学, 文学研究科, 准教授 (50571733)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アリストテレス / 倫理学 / 学芸学部 / オックスフォード大学 / 十三世紀 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)十三世紀から十四世紀初頭に書かれた『ニコマコス倫理学』の注解書のなかで、主に公刊されているものの関連箇所を読み、内容を分析した。並行して関連論文を収集して読んだ。 (2)オックスフォード大学で書かれた作品だと推定される『ウスター倫理学注解』の校定版を完成させ、解説を加えて、中世哲学研究の分野で定評ある欧文誌 Archives d'histoire doctrinale et litteraire du moyenage に投稿した。当該稿は受理されて、次年度中に発刊される予定である。 (3)オックスフォード大学の学芸学部教師であったヨハネス・ティティンザールの『倫理学注解』の現存する三つの写本を比較検討し、もっとも信頼性の高い写本を決定した。その後、写本の書写・校定の作業に本格的に入った。ヨハネス・ティティンザールの『倫理学注解』は三つの写本に残っている。三つの写本を部分的に書写して比較検討し、もっとも信頼性が高い写本をベースに、他の写本も参照しながら、書写・校定の作業を行った。一連の作業のやり方について、海外(デンマーク・コペンハーゲン)滞在中にSten Ebbesen 教授の指導・助言を受けた。また、ケンブリッジで開かれた学会参加の折りに、ケンブリッジ大学図書館所蔵の写本を閲覧した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
十三世紀におこった変化を理解するために、十二世紀の倫理学のあり方についての理解を二次文献と原典をもとに深める予定であったが、十二世紀に関しては公刊されている資料が少ないことから、十三世紀の公刊されている資料の読解に力点をおいた。その他の点については、研究及び研究の公表がおおむね予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね当初の研究計画通り、研究と研究の公表を進める予定である。今年度中に『ウスター倫理学注解』の校定版を出版し、次年度中にヨハネス・ティティンザールの『倫理学注解』の第一巻の部分の校定版を作成し、ウェブで公表する。 そのために、ヨハネス・ティティンザールの『倫理学注解』の残り二つの写本の調査を行う。今年度中にダラムで、次年度中にオックスフォードで写本の閲覧をする予定である。
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