2015 Fiscal Year Research-status Report
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26370019
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
周藤 多紀 京都大学, 文学研究科, 准教授 (50571733)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | オックスフォード大学 / 学芸学部 / 十三世紀 / 倫理学 / 校定版 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 前年度にフランスで発行されている欧文専門誌に投稿・受理された、オックスフォード大学で書かれた作品と推定される『ウスター倫理学注解』の校定版及び作品解説の論文の校正(初校及び再校)を行った。 2. 未公刊の写本資料であるヨハネス・ティティンザールの『倫理学注解』の序文及び第一巻の注解の書写を終えて、写本間の相関関係を明らかにする作業を進めた。ヨハネス・ティティンザールの『倫理学注解』は、現存する唯一の、十三世紀のオックスフォード大学で書かれたことが確定される倫理学注解であって、校訂版の作成は十三世紀のイングランドの倫理思想を知る上で必須の作業である。校訂版作成上の疑問点を解消するために、コペンハーゲンに滞在し、これまで数々の校訂版作成に関わってきたコペンハーゲン大学教授のSten Ebbesen教授に助言を受けた。 3. イギリスのダラムに5日間滞在して、現存する三つのヨハネス・ティティンザールの『倫理学注解』の写本のうち、ダラム司教座聖堂図書館所蔵の写本を閲覧し、第一巻の書写の不明点を解消するとともに、写本全体の状態を確認した。 4.『ウスター倫理学注解』やヨハネス・ティティンザールの『倫理学注解』と類似性をもつ、十三世紀のパリ大学で書かれた倫理学注解を読解し、当時のパリ・オックスフォード大学学芸学部教師が、哲学と幸福の関係をどのように考えていたのかをまとめ、国内学会のシンポジウムで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
『ウスター倫理学注解』が掲載されるはずの欧文専門誌の発刊が、出版社の都合(当該号が大部になったため)翌年に持ち越され、この校訂版を郵送する際に連絡をとろうと考えていた、十三世紀西欧の倫理学注解を研究している海外の研究者とのコンタクトが遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヨハネス・ティティンザールの『倫理学注解』が引用しているテキスト(locus fontium)を確定する。同『倫理学注解』の二つの写本(ケンブリッジ大学所蔵のものとオックスフォード大学所蔵のもの)を閲覧し、書写の不明な点を解消する。以上の作業を踏まえて第一巻の校訂版を完成させ、公表する。
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