2015 Fiscal Year Research-status Report
ジャポニスム期に流出した在欧州におけるきもの及び日本染織品の保有状況の調査
Project/Area Number |
26370150
|
Research Institution | The Kyoto Costume Institute |
Principal Investigator |
周防 珠実 公益財団法人京都服飾文化研究財団, その他部局等, 研究員 (70642578)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深井 晃子 公益財団法人京都服飾文化研究財団, その他部局等, その他 (50309431)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ジャポニスム / 在外日本染織品 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)本研究の目的:きもの及び日本染織品が欧米に与えた影響の重要性と広域性を検証するため、19世紀中期から20世紀初頭のジャポニスム、即ち日本文化が欧米へ強い影響を与えた時期を中心に欧州に渡った該当品の所在、具体的には海外美術館における保有状況を明らかにする調査である。 2)先行研究と本研究の意義:該当調査はこれまで、フランス及びイギリスにおける調査(2009-11年度「ジャポニスムを背景とした着物の欧米における影響についての研究」文化ファッション研究機構課題採択、深井晃子、長崎巌、稲賀繁美、周防珠実、石関亮)、イタリアにおける調査(2013年度「ジャポニスム期に流失した在イタリアの美術館における日本染織品についての調査」ポーラ美術振興財団平成25年度助成、深井晃子、長崎巌、周防珠実、小島咲)を実施し、ジャポニスム研究において、これまで未開拓であった日本染織品からの視野を切り開いた。本研究は、まだ十分な調査が行われていなかったオーストリア、ポーランド、ドイツにおける在外日本染織品の所在を初めて総括的に検証することである。これにより、日本染織品の影響の地域的な広がりとともに、領域的広がりを検証することとなり、ジャポニスム研究をさらに深化させることができる。 3)本研究の報告:平成27年度は、ポーランド及びドイツの美術館・博物館を調査研究の対象とし、次の2館を現地調査の対象館として選出した。1.日本美術技術博物館(通称マンガ館)Muzeum Sztuki i Techniki Japońskiej Manggha(クラクフ、ポーランド)、2.ハンブルク美術工芸博物館Museum für Kunst und Gewerbe Hamburg(ハンブルク、ドイツ)。これら2館において、対象品の性格=形状、材質、技法、模様、コンディション、製作年代、及び収集時期、収集方法などにかかわる来歴由来等について現地調査によって明らかにし、記録用写真撮影を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポーランドにおいて選択した美術館における、ジャポニスム期に渡った日本染織品の収集状況は、大枠において把握でき、調査研究の目的は達せられた。ドイツにおいては、調査協力に対応してくれた館がハンブルクだけとなり、他の地域での現地調査は本年度には実施ができなかった。しかしながら、ハンブルク工芸美術館が所蔵する該当品は本研究の目的に十分に達するものであり、本年度の目標はおおむね達せられた。
|
Strategy for Future Research Activity |
ハンブルク以外のドイツ、ベルギーなど、当初予定していた現地調査の協力館が現在において得られないため、最終年度となる平成28年度は、現時点までの調査研究を統括する報告書を刊行する。
|