2014 Fiscal Year Research-status Report
動画サイト視聴者コメントの解析によるアニメ舞台地への観光誘致の調査
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26370184
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Research Institution | Kanazawa Gakuin University |
Principal Investigator |
越田 久文 金沢学院大学, 美術文化学部, 准教授 (30585873)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アニメ舞台地 / 聖地巡礼 / ニコニコ動画コメント / ビッグデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
<データ解析>について 初年度は、ニコニコデータセット(ニコニコ動画のコメントおよびそのメタデータ)解析のための下準備を行った。データセットから「アニメ」「聖地巡礼」等、本研究に関係のある動画の抽出、その動画中の語彙抽出(形態素解析)を行い、データベースを構築した。コメント中にはいわゆるネットスラングが多く含まれるため、一般辞書による語彙の切り出しでは対応できないキーワードが多く含まれる。予想したことではあるが、ネットスラング用の辞書の整備を進めているところである。 <現地調査>について 平成27年2月15日より18日にかけて、長野県内のアニメ舞台地の現地調査を実施した。長野県大町市は、研究課題のアニメ舞台地観光の発端となったとされる、アニメ「おねがい☆ティーチャー」(平成14年放映)の主要舞台地であり、ファンが多数訪れる木崎湖周辺にて調査を行い、特にキャンプ場管理事務所の営業部長に聞き取りを行った。小諸市は、平成24年年放映の「あの夏で待ってる」の舞台地であり、小諸市でアニメによる観光誘致に中心となって取り組んでいる温泉旅館薬師館の専務、およびファンの交流の場となっている珈琲こもろでも聞き取りを行った。長野市においても観光事業に携わっている長野広域連合およびながの観光コンベンションビューローに映画およびアニメ誘致の担当者から取り組みについて聞き取りをした。 本研究課題は、研究チームがある石川県金沢市が舞台地となっている「花咲くいろは」(平成24年放映)を問題意識の出発点とし、調査の中心をなすものであるが、大町市をはじめとする長野県は、アニメ舞台地観光の発端となり、なおかつ最多の舞台地を抱える場所であり、さらに人口が多い首都圏とも近く、このほど北陸新幹線と金沢市とも結ばれたなどもあって、本研究課題を進めるうえで必要不可欠な調査地点であり、収穫の多い調査となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は、「アニメを核としたコンテンツ・ツーリズムの成否のカギはどこにあるのか、その基礎調査、データ解析手法の確立を本研究の目的とする。ニコニコ動画を運営する株式会社ドワンゴと国立情報学研究所が提供する「ニコニコデータセット」(ニコニコ動画の全コメントデータ、動画データをJSON形式で記述したもの)をテキストマイニングの手法で解析し、コンテンツ・ツーリズムの成功事例に見られる特異点の抽出、動画視聴者のコメントの傾向等の分析手法を確立する」ことである。今年度は「ニコニコデータセット」のコメント解析の前段階として、テキストマイニングのためのデータ整備およびデータベースの構築を行った。研究体制の中にテキストマイニング、統計解析を主研究範囲とする者がおらず、データベースの構築等にやや遅れが出ている。計画では年度末までに動画コメントの出現頻度、語句間の関連強度等の傾向把握に目処をつける予定であったが、形態素解析による単語抽出が完了した段階にとどまる。 アニメ舞台地の現地調査については、2年目に重点的に実施する計画であり、今年度は長野県での調査を実施したに留まるが、研究計画通りであり問題ない。本調査においてアニメ舞台地の関係者によって、コンテンツ・ツーリズム成功の尺度(経済効果、観光客入り込み数・地域の活性化等)が多数あることを再確認でき、2年目の調査に向けて大きな収穫となった。 関連資料(BD、DVD、アニメ関連商品)の収集に関しては、当初予定していたもので収集不能のものが予想以上に多く、予定より遅れている。かなりのヒットアニメでもDVD等が廃盤になっているものがあり、アニメビジネスの厳しさを痛感しているところである。入手出来無いものは、海外版とうで補充できるものは入手し、研究に支障のないよう手当していくよていでである。
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Strategy for Future Research Activity |
「ニコニコデータセット」の解析については、KH Coder等のテキストマイニングツールを使ってコメントの相関関係、重み付けの作業を進め、今年度の遅れを回復したい。当初計画では自然言語処理、統計学の見識に不安があり、専門研究者からの助言を求めていく。 現地調査については、以下のアニメ舞台地での調査を実施する予定である。①埼玉県秩父市(あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない)、②埼玉県久喜市(らき☆すた)、③千葉県鴨川市(輪廻のラグランジェ)、④茨城県大洗町(ガールズアンドパンツァー)、⑤広島県竹原市(たまゆら)。これら5地区は研究者居住地より遠方のため、長期休暇中に実施予定であるが、金沢市(花咲くいろは)、南砺市(true tears(トゥルーティアーズ))等近隣地域は、学生スタッフを活用し、継続的に調査をおこなう。 現地調査においては、連携研究者酒井の担当分野であるが、本研究の目的達成において現地調査の重要性が当初予想以上に重要であると考え、連携研究者から分担研究者へ変更を行う。研究者酒井においては、元新聞記者の経歴を持ち、豊富な人脈、交渉能力、社会学的見地など、本研究において重要なポジションにあり、分担研究者として予算配分することにより、より自由で機動力のある調査事業を主導してもらいたい。 来年度は、データ解析の遅れにより見送った、解析に必要な設備等の購入を進めるとともに、未入手の関連資料の充実を図り、研究目的達成に向けて必要なデータ収集、調査結果をまとめ、研究成果の基礎固めを図る一年とする。
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Causes of Carryover |
データ解析に遅れが生じたため、解析用PC等、解析に使用する物品購入を見合わせたため、物品費に未使用分が発生した。またカメラ機材も4K動画記録が可能な製品が年度中に発表され、費用対効果の面で購入を次年度に持ち越した。映像資料についても、廃盤等で入手できなかったものがあり、計画よりも使用額が少なくなっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度未使用分は、当初の計画通り次年度に執行する。 データ解析の下準備が整ったので、前年度購入を見送ったPC等の物品を購入。カメラ機材も4K動画対応製品が複数発売となったので、検討の上購入する。映像資料については、海外版の購入、店頭在庫などで当初計画したものを入手する。
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