2014 Fiscal Year Research-status Report
演劇的現実体験を通じた実生活上の意識変容に関する深層心理的研究
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26370189
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Research Institution | Tezukayama Gakuin University |
Principal Investigator |
猪股 剛 帝塚山学院大学, 人間科学部, 准教授 (90361386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮坂 敬造 東京福祉大学, 教育学部, 教授 (40135645)
川嵜 克哲 学習院大学, 文学部, 教授 (40243000)
田中 康裕 京都大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (40338596)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メディアと意識 / マルティプルな意識 / 現実の多相性 / 現実性の変容 / 夢と現実 / 日常性と異常性 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は研究計画の端緒として必要な書籍や機材の整備を行い、絵画や舞台芸術のアーティストとの会議やワークショップを行うことから始めた。まずは臨床心理士中心の芸術療法セミナーやワークショップにアーティストを招聘し、臨床心理とアートの協働を手始めとした。そこでは、臨床心理士が注目する家族史や病歴という医学的な現実から自由なアートの現実理解の方法や、心理とは別に作業や物作りといった身体活用を通じた現実把握の方法が臨床心理士にとっての新たな現実感を開くことが明らかになった。また、アーティストにとっては、心理学が持つ物語的な現実把握や、心理学的な心理を行動化せずに見守り続ける態勢が物作りへと行動するアートへの差異として新鮮な現実感をもっていることが明らかになった。 また、ドイツ出調において夢分析と現実との関わりと、それを通じた現実意識の変容の研究を、ドイツの専門家と共に実際の臨床事例に則して行った。それは今回は特にアディクションという精神病理との関係で考察され、今年度中に論文として刊行される予定である。 また実際の舞台と意識変容の関係では、秋田において「宿命の交わるところ」という舞台芸術にアドバイザーおよびインタビューアーとして参加し、ラジオや新聞やWebによって発信される多層的な情報によって人々の意識がどのような変成を起こすのかに注目した研究を進めた。その一部は、河北新報社紙上で「芸能の力」や週間秋田新聞紙上で「占いの未来」として公開されたが、その研究成果はやはり今年度中に論文として学会投稿される予定である。 このように本研究は順調に進められていると考えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実績の概要にも記したように、芸術分野と心理学分野の共同研究はセミナーやワークショップを通じて進められ、そこで得られた成果や課題が今年度引き継がれ、さらなる実験的な取り組みを進めている。 また、アディクションと夢についての論文は現在執筆途中であり、同時にメデイアと意識変容についての論文も制作中であり、今年度中の学会誌投稿と受理に向けて準備が進んでいる。 途中経過における実績としても舞台による実験的な制作や、日本の論考が執筆されておりおおむね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は春にドイツを中心としたヨーロッパにおいてアートや演劇の現代性と、そこで扱われている現実性の問題について資料収集と実地調査を行う。また昨年度に引き続き、夢と現実性の研究を進展させるために臨床事例の研究会を設けて事例の検討と研究のシンカーをはかる予定である。 またすでに記したように二つの学会論文の投稿と受理を目指した準備も進められている。 今年度は秋田における制作にアドバイザーとして関わりながら、舞台芸術における心理的な変容をより詳細に調査研究を進めることになる。今年度においておおよそのデータを集積し終え、来年度はそれを国内および国際学会において成果として発表していく計画である。
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Causes of Carryover |
当該年度は、物品の購入を次年度に繰り越したことと、二度の海外出調が予定されていたが、それが次年度にずれ込んだために繰越金が生じた。また、セミナーやワークショップなどでのアートと心理学の共同研究において人件費の支出が見込まれていたが、人件費の支出なく共同研究が進められたために、繰越金が増えた形となっている。今年度は、繰り越された物品購入と海外調査と人件費の支出があらためて執行される予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予算通り今年度に調査用の物品が購入される予定であると共に、国内外での研究調査と研究会議が予定されている。講師費などの人件費も支出予定であり、繰越金と今年度支出予定額をあわせた予算の執行が見込まれている。
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Research Products
(1 results)