2014 Fiscal Year Research-status Report
源氏物語の新たな本文関係資料の整理とデータ化及び新提言に向けての共同研究
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26370212
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
豊島 秀範 國學院大學, 文学部, 教授 (90133272)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 源氏物語 / 河内本 / 平瀬家本 / 七毫源氏 / 岩国市吉川家本 / 青表紙本 / 別本 / アメリカ議会図書館本 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題の「源氏物語の新たな本文関係資料の整理とデータ化及び新提言に向けての共同研究」に即して、「研究目標」の「1.新たな本文の翻刻」、「2.主要な本文13本の視覚的に容易に比較・確認が可能な本文対校の作成と、そのデータ化」を、「若紫」巻を対象におこなった。 さらに、連携研究者などによる「源氏物語の本文資料に関する共同研究」として、それぞれが課題としている研究内容について、平成26年12月13日に、國學院大學において、公開の共同研究会を開催し、以下の発表をおこなった。豊島秀範(國學院大學教授)「河内本の本文の特徴─「夕顔」巻を中心に─」、田坂憲二(慶應義塾大学教授)「『紫明抄』伝本再考」、伊藤鉄也(国文学研究資料館教授)「ハーバード大学本「須磨・蜻蛉」の字母に関する一考察」、上野英子(実践女子大学教授)「源氏物語(三条西家書本)の表記法について」、上原作和(桃源文庫日本学研究所)「阿仏尼本「帚木」巻本文の宗本的性格」、菅原郁子(専修大学大學院生)「米国議会図書館本について─五辻諸仲筆本との関係─」。 もう一つ「研究目標」である、「3.対校本文のデータ化」についても、いわゆる河内本5本(平瀬家本・七毫源氏・中京大本・尾州家本・吉川家本)、青表紙本4本(大島本・明融本・三条西家本・吉川家本)、別本4本(陽明文庫本・飯島本・国冬本・米国議会図書館本)の、計13本について、データ化は済んでおり、いつでも公開できる情況にある。公開が認められる環境が整えば、対校本文の異同が容易に確認できることになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
連携研究者と共同でおこなう本文研究は、それぞれの研究者がほぼ順当に研究を進めていて問題はない。 「対校本文のデータ化とその公開」に関しては、対校本文のデータ化については毎年ほぼ予定通り着実に積み重ねているが、そのデータの公開にはまだ至っていない。その理由は、それぞれの伝本の所有者の了解が完全には得られていないからである。ただし、それらのデータも本文そのものではなく、本文を活字化したものであるので、やがて公開の承諾も得られるものと想われる。
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Strategy for Future Research Activity |
『源氏物語』の本文は、一つの伝本を取り上げても膨大な量にのぼるので、主な10数本の本文に限っても、54巻全巻の本文対校を、可視的に容易に理解できる形に作成し、データ化するには、まだ相当の時間と労力を要する。しかし、「基盤研究A(4年間)」・「同C(3年間)」、そして26年度からの「基盤研究C(3年間)」が認められたことで、新たな本文の翻刻と、それを用いた本文対校一覧の作成と、そのデータ化が、大きく前進することになる。全体が完成して初めて、大きな意義を発揮する研究であるので、今までの研究基盤を引き継ぎながら、その完成を目指して邁進したい。
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Causes of Carryover |
報告書の支払いが、次年度になるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
報告書の支払いに当てる。
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Research Products
(22 results)