2014 Fiscal Year Research-status Report
正倉院文書の読解を通した上代文学の表現の生成に関する研究
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26370220
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Research Institution | Hagoromo International University |
Principal Investigator |
中川 ゆかり 羽衣国際大学, 人間生活学部, 教授 (30168877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 千鶴(荻原千鶴) お茶の水女子大学, その他部局等, 教授 (20109226)
桑原 祐子 奈良学園大学, 情報学部, 教授 (90423243)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 正倉院文書 / 風土記 / 木簡 / 下級官人の文章 / 百済 / 漢文助字 |
Outline of Annual Research Achievements |
正倉院文書は奈良時代の主に下級官人が書き残した膨大な文書の集積である。この文書を読み解くことによって、当時通行した日本語の文章のあり方や、その書き手である官人達の生活の具体相を知ることが本研究の目的である。 研究の一年目は正倉院文書や木簡をその背景も視野に入れ、詳細に読み解く事に努めた。 具体的には①田上山作所(石山寺造営に関わる機関。石山寺造営に関わる文書は正倉院文書の中でも重要な位置を占める。)の実地調査のよって、文書がやりとりされた地理環境についての理解を深めた。②「文字がつなぐー古代の日本列島と朝鮮半島」(国立歴史民俗博物館特別展)の見学によって、日本と朝鮮半島の文字使用の関わりについて学んだ。③古代の文書における「漕」と「運」の使い分けに関する考察(桑原祐子)と質疑応答(荻原千鶴・中川ゆかり)によって、漢字の使い分けと事務効率の関わりを見た。④漢文助字「耳」の使用意識に関する考察(中川ゆかり)と質疑応答(荻原千鶴・桑原祐子)によって、日本人が漢文助字を用いる意識を考察した。⑤百済の故地の主に文字遺跡を訪ね、日本との深い関わりを実感した。⑦正倉院文書中の「者」の用法に関する考察(桑原祐子)と質疑応答(荻原千鶴・中川ゆかり)によって、漢文助字の文書における特徴的な用法を見た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の研究発表を含めて研究会5回・臨地研究2回・博物館見学5回(韓国・日本)を実施することによって、日本上代の人達の漢字使用の意識・文章作成の工夫が次第に明らかになりつつある。 また、<出雲>という地方に生きる人たちの文章への向き合い方に照準を当てた研究も深まりを見せた。
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Strategy for Future Research Activity |
一年目に得られた知見に基づき、更に研究を発展させる。 具体的には、相手に仕事を指示し、また相手に仕事の成果を報告する、いわゆる<手紙>に類する正倉院文書を資料として、第三者的な記述をする文献には埋もれている日本語あり方をを明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
必要な書籍が品切れ等で入手できず、そのための経費が支出できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
再度探索し、書籍を購入し支出する。
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Research Products
(7 results)