2014 Fiscal Year Research-status Report
アイルランドと日本における伝承文学教育の文化創造可能性についての比較研究
Project/Area Number |
26370302
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
高橋 美帆 関西大学, 文学部, 教授 (70342532)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安川 慶治 関西外国語大学, 英語国際学部, 准教授 (20319651)
池田 寛子 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (90336917)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | アイルランド / 伝承文学教育 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究代表者・研究協力者がアイルランドへ現地調査に出かけ、資料収集を行った。現地関係者との連携を生かして、教育現場を訪問し、アイルランド語が伝承文学を用いてどのように教えられているかの実態調査を行った。また、アイルランド語で執筆する童話や妖精物語を手掛ける作家や詩人に面会し、その執筆現場の様子を見学するとともに、次年度の招聘に向けての打ち合わせをした。現地インタビューは録音し、音声資料として残した。同時に、アイルランドの教育省を通じて、現地教育関係者に本テーマに関するアンケート調査を、紙媒体・メール等での媒体を通じて実施した。 研究代表者および研究分担者2名は、各自で以下のように活動した。代表者は大英図書館でアイルランド文学の影響を受けた英語圏児童文学作品を調査した。一方の分担者はヨーロッパ文学、とくにフランス・ブルターニュ地方における文学にみられるアイルランド伝統文学の影響を文献調査した。もう一方の分担者は、アイルランド語伝承文学と英語作品を比較研究して、『アイルランド文学:その伝統と遺産』に分担執筆した。 テーマに沿って各自が作業を進める過程で、全体としては月1~2回定期研究会を開催し、研究の進捗状況を報告し合って意見交換を行った。そして、伝承文学の影響を受けたアイルランド語児童文学作品や関係書籍の共同翻訳を進めていった。本年度は『アイルランド文学:その伝統と遺産』、『真夜中の法廷―18世紀アイルランドの至宝』、『異界のものたちと出遭って―埋もれたアイルランドの妖精話』を翻訳・出版した。取扱書店で出版記念イベントと展覧会を開催し、アイルランド伝承文学への興味と理解を深める機会を設けた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に示した予定通りに、本年度はアイルランドへ現地調査に出かけて、必要な資料収集およびアンケート調査を実施できた。次年度の招聘準備も計画通りに進められた。研究代表者および研究分担者2名の各自の活動も予定通りで、全体として円滑に研究を進められている。
|
Strategy for Future Research Activity |
アイルランド伝承文学の紹介および伝承文学が現地の教育・児童文学・子ども文化において果たす役割をテーマに掲げ、アイルランドの作家を講師として招聘し、日本の教育関係者および一般・学生を対象とした講演会、シンポジウム、研究会を開催する。また、2014年度に実施したアンケート調査の分析を進め、最終年度での発表を目指す。そして前年度と同様に、伝統文学の影響を受けたアイルランド語児童文学作品を共同翻訳・出版し、アイルランド文化と類似点の多い日本の伝統文化へと子供たちが目を向けるような機会を広げていく。
|
Causes of Carryover |
物品費については、購入予定のセット書籍が入手困難となったため、初年度内に購入できず、予定通りにならなかった。入手できない書籍は今後、古書としての購入を検討し、その購入予定分を次年度に持ち越した。また旅費については、研究協力者がアイルランドへ現地調査ならびに個人研究のために渡航する際、科研費と私費との混合使用を避けるために、初年度は私費で渡航することになった。その分を次年度の渡航費に持ち越した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費については、昨年度入手できなかった購入予定図書を購入するために充てる。 旅費については、円高のため航空運賃が大幅に値上がりしているので、今年度予定している招聘の費用に運用したうえで、研究代表者・分担者・協力者の行う資料収集・調査の費用に充てる。
|
Research Products
(6 results)