2014 Fiscal Year Research-status Report
遅延フィードバックシステムの音声効果研究―英語学習者の自己調整を促進するか―
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26370749
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
大岩 昌子 名古屋外国語大学, 外国語学部, 教授 (50340360)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遅延フィードバックシステム / 英語音声教育 / 早期教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
小学校~大学の英語音声教育では、モデル音声を模倣・調音させるリハーサルがいまだ一般的であるが、こうした方法がすべての学習者に充分安定的な音声表出を可能にするわけではない。本研究は、音声の表出過程で「いかに調音するか」という点に焦点か当てられてきた従来の方法から、学習者に自らの発話が「どう表出されているか」を意識させ、調音の「自己調整」を促進させることを目指す、新たなパラダイムへと転換することを主眼とする。具体的には、元来、吃音治療に利用されてきた Delayed Auditory Feedback (遅延聴覚フィードバック,DAF)を英語音声教育に適用、学習者の無意識的な調音を一旦白紙に戻すことで新たな音声表出に認められる効果を分析、英語音声教育方法としての可能性を追求するものである。本年はその第1段階として、発話および聴覚に問題のない成人を対象に、遅延聴覚フィードバックシステムが母語および外国語の読み上げ状況にいかなる影響を及ぼすか検証することを目的とした。母語の読み上げの場合はその速度へのDAFの影響には個人差が大きく、先行研究を追認する結果となった。もともと流暢性が高いため、DAFを無視しなければ読み上げが思い通りにできない。すなわち、流暢性をNDF(DAFなし)条件と同様に保つためにはDAFを無視するか、あるいは流暢性を犠牲にしてDAFによる自分の声を聞き取るかのどちらかということになる。一方、同じ実験参加者における流暢性の低い外国語の場合には、DAFが流暢性を犠牲にしないだけでなく、逆にDAFが音声照合を強制的に起動させることで自らの音声を確認する、すなわち読み上げの補助として働くことが可能になるという可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
26年度は大学生を対象とした実験のみを想定していたが、27年度に予定していた小学生対象の実験の第1段階を、すでに終えることができている。ただし、27年年度末に、第2段階の実験をさらに加え、データを蓄積するよう努力する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は日本語、英語話者以外の話者に対して、英語の発音にDAFシステムが如何なる効果を発揮するか、主にフランスで実験を実施する予定である。先方機関の都合および代表者による日本での実験期間を考慮すると、平成28年3月より4月にかけて渡航、実験を行うことを見込んでいる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は17,946円となり、今年度はほぼ予定通り執行できたと考える。あえて言えば、旅費での使用が予定より少なかったのが要因である、
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の予算と合計して旅費の予算として執行する予定である。
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