2017 Fiscal Year Annual Research Report
Speech Effect Study of Delayed Feedback System - Facilitating Self-Adjustment in English Learners -
Project/Area Number |
26370749
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
大岩 昌子 名古屋外国語大学, 外国語学部, 教授 (50340360)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遅延フィードバックシステム / 化石化 / 英語音声教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
英語音声教育では、モデル音声を模倣・調音させるリハーサルがいまだ一般的であるが、この方法がすべての学習者に充分安定的な音声表出を可能にするわけではない。本研究は、音声の表出過程で「いかに調音するか」という点に焦点が当てられてきた従来の方法から、学習者の発話が「どう表出されているか」を意識させ、学習者自らによる調音の「自己調整」を促進させることを目指す新たなパラダイムへと転換させることを主眼とするものである。具体的には、元来、吃音治療に利用されてきたDelayed Auditory Feedback(遅延フィードバック)を容易く実現するアプリケーションを英語音声教育に適用、学習者の無意識的な調音を一旦白紙に戻すことで新たな音声表出に認められる効果を分析、画期的な英語音声教育方法としての可能性を追求することを目的とした。 最終年度となる2017年度は、これまでの実験対象者であった日本人の小学生および非日本語話者の成人に加え、小学校での英語教育に従事する教員を対象とした実験を実施した。小学生を対象とした実験では、遅延フィードバックシステムとCDによるモデル音声を併用した場合、音声産出における同システムの効果が認められた。具体的には、2度の発音練習により、全体として、5割程度の正解率から、7割程度の正解率へと改善が見られている。一方、2017度に実施した教員を対象とした同様の実験においては、正解率にはほぼ変化が認められなかった。理由として、音声処理関連の化石化により、音声照合と自動修正が機能しなかったことが考えられる。遅延フィードバックシステムは自らの産出した音声を、客観的に聞き取り、CDのモデル音声と比較対象することで、自動修正することを狙ったものであるが、本実験結果はどの学習時期に適用すればよいかを端的に表すものとして意義あると考える。
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