2015 Fiscal Year Research-status Report
日本人大学生の明示的・暗示的英語知識の測定:わからないのか使えないのか
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26370754
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
徳永 美紀 福岡大学, 言語教育研究センター, 講師 (30461479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 幸代 福岡大学, 言語教育研究センター, 講師 (00609464)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本人大学生の英語力 / 明示的・暗示的知識 / 文法性判断テスト / ラッシュ分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は約500名の大学生に対して一連のテストを実施し、データの使用に同意した449名のデータを分析した。アンケートでは、授業以外での英語の使用に関して137名が「ほとんど使わない」、260名が「全く使わない」と解答し、一般的な日本人学生にとって、英語はまだまだ教科であり、コミュニケーションの道具として使用している、又はそのような機会のある学生は稀であることがわかった。 「文法ルールテスト」では、20項目の文法事項の選択問題を実施した。このテストで難易度が高かったのは「副詞の位置」「Do you like...?での複数名詞」「冠詞」「間接疑問文」などであり、難易度が低かった項目は「三単現のs」と「規則動詞の過去形-ed」などであった。 「文法性判断テスト」では、17の文法項目に関する45問をテストした。このテストは英文の間違いを見つけて訂正するというものである。難易度が高かった文法項目は「間接疑問文」「Do you like...?での複数名詞」「付加疑問」などで、難易度の低かった項目は「三単現のs」「規則動詞の過去形-ed」「所有のs」などであった。 「日英短文翻訳(筆記)」では同じく17の文法項目を対象に採点した。このテストでも「Do you like...?での複数名詞」「付加疑問」「間接疑問文」の難易度が高かった。興味深かった点は、その他のテストと異なり、「三単現のs」の難易度が高かったことである。 「日英短文翻訳(口頭)」と「絵描写テスト(口頭)」を授業時間外での協力者22名を対象に実施したが、対象者が少ないため、28年度のテスト結果と合併して分析することとした。 27年度の研究結果はニュージーランドで行われたLanguage, Education and Diversity Conference 2015とJACET東アジア英語教育研究会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
27年度は計画していたテストの実施は予定通り終了し、成果発表を国際学会で行うこともできた。しかし、筆記や口頭翻訳の分析段階において、対象としていなかった文法エラーが目立つなど、テスト項目を修正することでさらに信頼性の高い結果が得られるのではないかと考え、28年度にも引き続きテストを実施することとした。 28年度実施する改訂版のテストでは、時間制限の影響も再度検証することとした。とういうのは、26年度のパイロットテストで時間制限の有無による有意差は無いという結果であったが、その後も海外ジャーナルなどで有意差があるとの論文も出ているからである。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度はさらに改定を加えた一連のテストを実施し、成果発表を行っていく。テストの改定段階では、27年度の結果をもとに、テスト間での項目のずれを減らすことを目指した。すでにアンケートは終了しおり、4月末からGW明けにかけて「文法性判断テスト」を実施し、その後2、3週間後に「日英翻訳テスト」、さらに2、3週間後に「文法ルールテスト」を実施する。昨年度は口頭テストへの参加者を集めるのに苦戦した為、今年度はその呼びかけを早めることで、最低50名は確保したいと考えている。 成果発表は現在JACET応用認知言語学研究会(9月)、ALTAANZ2016 (11月)、JACET東アジア英語教育研究会(3月)を予定している。論文は時間制限の影響に絞ったものを1本、27年度の結果に関して1本を本年度中に国内ジャーナルで出版し、本年度の結果をまとめたものを来年度の海外ジャーナルでの出版に向けて執筆、投稿する。
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Causes of Carryover |
口頭テストの参加者を集めることが困難で、協力者の謝金が予定よりも少なかった。(協力者への謝金はQuoカードを使用したため、謝金ではなく物品費で計上されている。) ニュージーランドでの国際学会に参加したが、オセアニアが乙地扱いであることから宿泊費などが全額科研費から出費できず、個人負担となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初は27年度まででテストの実施は終了予定であったが、再度実施するにあたり、口頭テストの謝礼(Quoカードによる物品費)が発生すると同時に、口頭テストの書き起こしに対する謝金も必要となる。年度をまたいで校閲を依頼していた論文への謝金を含め、今年度執筆予定の論文の校閲費の出費も見込まれ、物品費および謝金が計画していた金額を超えるため、27年度に使用しなかった分をあてる。
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