2015 Fiscal Year Research-status Report
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26370809
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
今井 修平 神戸女子大学, 文学部, 教授 (00131540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東谷 智 甲南大学, 文学部, 教授 (10434911)
鎌谷 かおる 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (20532899)
村田 路人 大阪大学, 文学研究科, 教授 (40144414)
志村 洋 関西学院大学, 文学部, 教授 (90272434)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 小藩・旗本領 / 大庄屋 / 小城下町・陣屋町 / 幕府の広域支配と小藩 / 播磨国の地域的特性 / 小都市と地域経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
播州福本領池田家の大庄屋鵜野金兵衛家文書の目録作成はすでに2冊を刊行していたが、27年度には補遺編を『播州福本領鵜野金兵衛家文書目録Ⅲ』として刊行し、これで近世文書目録が完成した。平成27年5月30、31日には前年度に調査した宍粟市山崎歴史資料館所蔵の「山崎町方文書(地詰帳、万覚帳)」全点を写真撮影した。この史料は宍粟郡3万石を領有した池田家による小城下町山崎の住民構成とその変遷課程を幕末期まで解明できる貴重な史料であり、その分析を進めつつある。また8月26、28日、10月4日、11月29日には兵庫県立歴史博物館で佐用町平福の遠入氏寄託文書のうち近世文書群を全点撮影した。この史料は前年度に調査・撮影した平福大庄屋田住家文書を補う重要な史料群で、田住家と並んで平福の大庄屋を務めた三木家の文書であることが判明した。田住家文書と合わせて分析することにより池田家領時代の平福藩と旗本松井松平家領時代の平福領の地域社会構造の解明がより精確に進展することが期待できる。この旗本領時代の領主松井松平家については研究分担者の志村洋が平成28年1月30日埼玉県立文書館、2月20,21日川越市立博物館で文書調査を実施し、その成果は3月26日に神戸女子大学教育センターで行われた研究成果報告会で発表された。同報告会では播磨国の小藩領・旗本領の所領配置の変遷、小都市群の領域経済な果たした役割等の研究報告があり、次年度のそれぞれ論文発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の調査の過程で発見された佐用郡平福の遠入氏寄託文書、および宍粟郡山崎町町方文書が予想以上の厖大で、かつ本研究課題にとってきわめて価値の高い文書群であったため、その調査・写真撮影に時間がかかった。しかし福本領(池田家)に加えて山崎領(池田家・本多家)、平福領(池田家・松井松平家)の領主関係文書の調査を付け加えたことで播磨国小藩領の地域社会構造の特色がより鮮明に明らかになりつつあり、幕府の広域支配の及び方も、15万石の姫路藩領とも、また摂津・河内・和泉とも異なる、播磨国の歴史的特性解明がより進展することが期待できる。ただ研究会の開催が少なかったこともあり、論文作成に至らなかったことが反省点である。
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Strategy for Future Research Activity |
撮影した文書の解読を進め、宍粟郡の小城下町、山崎町の形成と発展過程を分析し宍粟郡の小藩領という限定された地域社会のおける小城下町の政治的・経済的役割を解明する。同様に佐用郡の陣屋町平福の領主支配と大庄屋制の特質を田住家文書と新出の遠入氏寄託文書を合わせて解読・分析する。また山崎藩領主の池田家、本多家について岡山大学池田家文庫の再調査を実施する。それに以前から解明がすすんだ福本池田家領の研究成果を総合して、近世における播磨国の新たな地域史像を描きたい。また研究会の開催と合わせてそれぞれの個別論文、または論文集・史料翻刻集を刊行する。
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Causes of Carryover |
兵庫県立歴史博物館、宍粟市山崎歴史資料館における古文書撮影に予想以上の時間がかかり、東京・岡山方面への史料調査が進まなかったこと、調査課程で発見された遠入氏寄託平福大庄屋文書と宍粟市教育委員会所蔵の山崎町方文書の写真撮影は終了したが、その解読作業をすすめているが、翻刻集の刊行には至らなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
東京都・岡山市への史料調査を実施する。研究報告会の開催頻度を多くするとともに、他の研究グループ(畿内譜代藩研究)および兵庫県立博物館と共同してシンポジウムを開催する。新出の遠入氏寄託文書の目録作成と山崎町方文書の「万覚帳」を翻刻、刊行する。
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