2016 Fiscal Year Annual Research Report
Historicai study of social structure at small feudal domain in Harima
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26370809
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
今井 修平 神戸女子大学, 文学部, 教授 (00131540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東谷 智 甲南大学, 文学部, 教授 (10434911)
鎌谷 かおる 総合地球環境学研究所, 研究部, プロジェクト研究員 (20532899)
村田 路人 大阪大学, 文学研究科, 教授 (40144414)
志村 洋 関西学院大学, 文学部, 教授 (90272434)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 近世播磨国論 / 大庄屋制 / 小藩・旗本領 / 小城下町・陣屋町 / 広域支配と行政 / 畿内近i国論 / 流域経済 / 地域社会構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
播磨国神東郡福本藩(池田家)領については前年度までに目録集を刊行した大庄屋鵜野金兵衛家文書の内容分析により、藩の御用商人を兼ね領主財政の運用や家臣団の俸禄支給のみならず、藩領域を超えた金融活動にも関わっていたという小藩領大庄屋固有の特性を解明した。また最後の福本藩主池田徳潤の活動についても解明しつつある。 播磨国佐用郡平福領(池田家、松井松平家)については前年度に写真撮影を完了した田住家文書の解読をすすめ、在地土豪の系譜を持つ田住家が池田輝澄時代の平福藩政に果たした役割や、公儀触や大坂町奉行所関連文書の分析により西播磨における幕府広域支配についても分析をすすめつつある。また現地調査で発見した遠入氏所蔵三木家文書を解読し埼玉県立博物館、川越市立博物館所蔵の平福領主松井松平家文書の調査結果と合わせて分析した結果、西播磨小藩・旗本領に固有の大庄屋の特質が解明されつつある。これらの研究成果は今年度中に複数の個別論文として発表する予定である。 播磨国宍粟郡山崎藩(池田家、本多家)については前年度写真撮影した山崎町町方文書の解読し『元禄年間山崎町御用書貫(上)(下)』を翻刻し刊行した。これは17世紀末の小藩領城下町の町政記録として近世都市史研究の進展にも裨益するところが大である。また近世前期から幕末まで継続して残る「地詰帳」の価値も高い。 さらに播磨国佐用郡三日月藩(森家)の武家屋敷が残る乃井野地区を調査し、旧家臣の竹内家と小林家の古文書を発見した。本格的な調査は今後の課題であるが、概要については乃井野地区の公民館の公開講座で報告した。幕府の広域支配下の非領国地域にありながらも独自に領域的纏まりをもって領主支配を実現していた西播磨の地域社会構造の解明にとって、これまで注目してきた大庄屋と並んで、在地している家臣団と地域社会との関わりを解明するうえで画期的な史料の発見であった。
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