2014 Fiscal Year Research-status Report
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26370818
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉澤 誠一郎 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (80272615)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中国近代史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、20世紀初頭の中国政治史について理解を深めるために、皇帝と大総統の地位をめぐる論理、制度設計や文化的葛藤について考察しようとするものである。このことを通じて、辛亥革命から袁世凱政権に至る時期に起こった様々な現象、たとえば袁世凱が皇帝になろうとして失敗した経緯などについて、これまでとは異なる説明を与えることができると期待される。また、同時代の政治思想・憲法理論を当時の中国人がどのように理解し運用しようとしたのかについて考察することを通じて、今日簡単に使われている帝制や共和制という概念そのものについて再吟味することも目的とする。 そのために本研究は、国際比較の観点を重視した。いうまでもなく、明治以降の日本の立憲制においても、天皇の位置づけは大きな論点であった。このことは、憲法学をふくむ法制理論において日本から多くを導入していた清末民国初年の中国においても、君主や元首といった概念について、真摯な思考と中国の実態にみあった適用が必要となったであろう。このような国際的な視野から、辛亥革命について再検討を試みることを意図している。 これらの問題設定に即して、本年度は、史料調査および史料分析を進めることができた。具体的には、米国のジョンホプキンス大学に所蔵されるグッドナウ文書、アメリカ議会図書館に所蔵されるムーア文書を調査し、また国内でも複数の図書館において史料閲覧を行った。そして、その分析を進めていくとともに、広く憲法思想の歴史、行政学の展開など、当該事象を分析するための理論的な前提となる事柄について理解を深めるように努力した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ予定の通り、史料調査を進め、その分析を進めることができた。 その成果の一部については、平成27年度のうちに学会において発表するべく、準備中である。また、論文の執筆にも着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題に即して、残る二年間も、ひきつづき同様の作業を続けていく予定としている。長期休暇を利用して、さらに史料調査を進めるとともに、学会報告・論文執筆によって研究成果をまとめていくつもりである。
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Causes of Carryover |
科研費補助金の合理的な使用を行っていたが、多少の残額が生じたので、次年度に有効に利用しようと判断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該の研究目的のために、次年度の予算とあわせて、有効に使用するつもりである。
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Research Products
(4 results)