2015 Fiscal Year Research-status Report
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26370915
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小野寺 淳 茨城大学, 教育学部, 教授 (90204263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増子 和男 茨城大学, 教育学部, 教授 (40238902)
渡辺 理絵 山形大学, 農学部, 准教授 (50601390)
上杉 和央 京都府立大学, 文学部, 准教授 (70379030)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 長久保赤水 / 改正日本輿地路程全図 / 古川古松軒 / 木村蒹葭堂 / 漢籍 |
Outline of Annual Research Achievements |
江戸時代中期を代表する地図学者長久保赤水の地図作製プロセスを解明するため,本年度は以下の5点を中心に研究・調査を行った。 ①長久保赤水からの分家は6家あり,このうち4家に史料が伝来している。この中の1家の史料のうち漢籍類は長久保赤水顕彰会所蔵となり,これらの漢籍に書き込まれた赤水の朱筆を撮影した。他の3家については土蔵などで悉皆調査を行い,新出の史料はそれぞれ整理・目録化を行い,赤水が収集した地図,漢籍,和装本を取捨選択した。これらの作業をほぼ終了することができた。②赤水による朱筆の書き込みがあった漢籍は,『天経惑問』,『史記評林』,『春秋経伝解』,『書経』,『周易』,『大学』,『春秋左傳』,『漢書評林』,『詩経集註』,『世説新語補』,唐話の『両國譯通』であった。現在,これらの数多くの書き込みを分担して解読中であり,赤水作製「大清廣輿図」などの中国図への反映を明らかにする予定である。③『改正日本輿地路程全図』の初版である安永8年版には,秋岡武次郎によって表現上の異動があることが指摘されているため,本研究で調査した4点について表現の異同を調べたところ,同一のものは無いことが確認できた。また,本図の地図作製史上における位置を検討し,分担者の上杉和央は著書の一部に成果を公表した。④長久保赤水と交流を深めた古川古松軒の史料を岡山県立博物館にて調査し,このうち2点の地図は御子孫宅の一家に写図が残されていることを確認することができた。⑤同じく長久保赤水と交流のあった木村蒹葭堂の史料のうち国立公文書館所蔵史料を調査した。 2014年度・2015年度における調査成果の一部は,日本地理学会2015年度秋季学術大会(愛媛大学)と歴史地理学会第242回例会(日本大学)において報告するとともに,「長久保赤水の地図」茨城大学図書館「土曜アカデミー」(2016年2月6日)で市民向け講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに順調に進行している。ただし,御子孫宅の所蔵資料の悉皆調査によって,新出の史料を数多く見出すことができたため,これらの整理に多くの時間がかかった。この整理には院生・学部生の助力を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
①これまでの調査結果の一部を,茨城大学図書館で公開展示(期間2016年6月18日~7月3日)を行う。②ご協力をいただいている長久保赤水顕彰会の大会で小野寺が講演(5月22日)を行う。③木村蒹葭堂旧蔵史料のなかの赤水関係史料の調査が不十分であるため,調査を行う。 ④成果をまとめるための最終的な調査を行ったうえで,成果を公表していく。
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Causes of Carryover |
残額が生じた理由は,木村蒹葭堂に関する史料の所蔵機関が複数箇所であるため,時間が取れず,調査ができなかった。次年度に実施する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
木村蒹葭堂の史料を所蔵する大阪府立中之島図書館などで調査を実施する予定である。
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Research Products
(3 results)