2015 Fiscal Year Research-status Report
世論における首相イメージの形成と構造-テキストデータと世論・選挙調査データの分析
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26380162
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 幸男 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (30347257)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 世論調査 / 内閣支持 / 首相イメージ / 選挙調査 / マスメディア / 内容分析 / 総理大臣 / 自由回答 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年前半は、マイクロデータを用いた分析に勢力を傾注した。まず、JES4調査で利用可能な自由回答の分類結果と内閣支持との関係を分析した論文「有権者の心理過程における首相イメージ」を連携研究者・平野浩と連名で日本選挙学会の共通論題で報告した。首相に対する好悪のイメージが持つ影響が非対称的であることを明らかにした点は、従前の研究から一歩踏み出した独自の成果だと考えている。 夏以降は、マイクロデータの計量分析に時間を割き、内閣に対する業績評価と将来期待が内閣支持に与える影響について分析を進めた。その結果は、日本政治学会において、「内閣支持と投票選択―JES-IV(2007-2010)データの分析:内閣の業績評価と将来期待」という題目で報告した(平野浩と共著)。政治関心の高低により、業績評価や将来期待の影響に違いがあることを明らかにした。 2015年晩秋以降は、マスメディアにおける首相イメージを分析する準備を開始し、第一次安倍内閣発足(2006年9月25日)から、野田内閣最終日(2012年12月25日)迄の首相についての新聞記事見出しを朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、日本経済新聞のデータベースから取得・整理し、時系列データの作成を行った。また、選挙直前の16週間についてはより詳細に記事内容を検討するために同じく上記4紙について計量テキスト分析用に新聞記事を収集し、分析可能なフォーマットに整理する作業を行った。 また、研究が進捗するにつれ、当初の研究計画にはなかったテレビにおける首相報道についてもメタデータを取得できることが分かったので、データを購入し、その整理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度は当初の予定通り、5月の選挙学会・研究会、および10月の日本政治学会・研究大会で論文の口頭報告を行うことができた。前者については改稿後、学術誌に掲載されている。 また、当初の研究計画から軌道修正を行っているが、マスメディアの首相報道については新聞記事データだけではなくテレビ報道についてのメタデータも取得し、整理・検討を行っている。データの整理・取得についても概ね予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書に記載した首相の所信表明演説の分析は、選挙調査時の自由回答が首相就任直後のものでないことを考慮して、優先順位を下げ、むしろ選挙時により大きな影響を持っていると考えられるテレビ報道についてのデータ収集・整理と分析を追加した。 それ以外は、基本的に当初の方針通りに進めているが、データの収集について計画を拡大したために、個別の分析は少し遅れがちである。 2016年度は5月、7月、10月と三件の学会報告を予定しているので、その学会報告を研究の進行を管理する目安として、活動を継続していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた首相の所信表明演説の内容分析に変え、テレビメタデータの分析を先に着手したため、人件費・謝金執行の時期が遅延した。テレビメタデータについては分量・内容をまず教員側で把握・整理し、学生に任せる単純作業に落とし込む必要があるが、そこまで作業が進まなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
人件費・謝金を主にテレビ報道テキストデータの整理・分類補助作業に使う予定である。
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Research Products
(3 results)