2016 Fiscal Year Annual Research Report
Dynamic Contract Theory of Capital Formation and Managerial Replacement
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26380236
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小佐野 広 京都大学, 経済研究所, 教授 (90152462)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 経営者交代 / 投資 / トービンのQ / 連続時間契約モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
投資家が経営者の解雇時点に関しては長期契約に部分的にしかコミットメントできないという意味でのリミティッド・コミット型のモデルを前年度構築していたが、その数値計算ができていなかった。本年度は、主としてその数値計算解析を行った。 基本的には、ハミルトン・ヤコービ・ベルマン方程式から導出される2階常微分方程式を解くことになるわけであるが、適当なパラメーターの下で数値計算の解を導出することができた。また、パラメーター、特に重要な変数は経営者交代費用とモラルハザードの程度を代理する変数であるが、それらの値をいろいろ変えて、比較静学を試みた。 とくに、興味深い結果は、交代費用の上昇とともに、交代の起こりやすさ、および、経営者の交代時点での企業の投資行動がどのように変わっていくかということである。それらについて理論が予測しているものと整合的な結果を得た。また、経営者の交代が頻繁になるにつれて経営者交代が起こりにくくなるという理論結果も、数値計算の結果より確認されている。 モデルの実証的インプリケーションも、経営者の交代や投資に関する文献を調査して付け加えた。今後の研究の展開としては、これらの実証的インプリケーションをテストすることである。また、連続時間契約モデルでは、DeMarzo and Sannikov (2016)や He, Wei, Yu, and Gao (2017)が、learning モデルへの拡張を試みているので、その方向への拡張も考えたい。
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Research Products
(1 results)