2017 Fiscal Year Annual Research Report
The preliminary study of industrial relations at Japan Railways
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26380289
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
中村 圭介 法政大学, 総長室, 教授 (30227889)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | JRの労使関係 / 鉄道安全問題 / ヒューマンエラー / 鉄道職のキャリア / 駅務職のキャリア / JRの処遇制度 / 青年女性委員会 |
Outline of Annual Research Achievements |
「労働組合による強力な職場規制」が国鉄時代の労使関係の特徴を端的に示す表現であった。この特徴は国鉄の分割民営化・JR発足によっていかに変化したのか。これを探るための準備作業として労使当事者との間に信頼関係を構築することが本研究の目的であった。平成26年度はJR総連書記長、JR総連傘下単組の非専従役員、JR連合事務局長にインタビューを行った。平成27年度はJR連合傘下のJR西労組の書記長へのインタビューを実施した。平成28年度にはJR総連傘下単組のインタビューが行えないことが判明したが、JR連合傘下の2単組のインタビューを行うことができた。使用者側への接触はできず、労働組合もJR連合傘下の2単組のみということで、信頼関係の構築という本予備調査の目的を十分に果たしたとはいえない。これまでに経験してきたことのない困難であった。 だが、JR西日本の労使関係について興味深い報告3本(研究成果報告書に所収)をまとめることができた。「外部化の進展と労働組合」は契約社員制度、鉄道関係業務の外部化と安全問題にJR西労組がどう対応したかを論じたものである。JR西労組が国鉄時代には見られなかった統合型交渉(労使が協力することで双方にとって良い成果を収めることのできるような交渉)を行っていることを明らかにしている。「労使関係の変容」はキャリアと処遇制度の変容を探っている。同一系列のキャリアを歩ませるという原則は維持されているが、国鉄時代に比べて、やや柔軟性が増していること、処遇制度は人事考課制度の導入、昇進・昇格における個人間競争が見られるなど、大きく変容していることを明らかにしている。「若年労働者と組合活動」は民間労組では珍しくなった青年女性委員会の活動に焦点を当て、同委員会が国鉄時代と同じく、新入社員の組織化、若者固有の問題についての団体交渉など活発に活動を行っている様子を明らかにしている。
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