2014 Fiscal Year Research-status Report
生産工程の変革による産業集積の変遷メカニズムに関する動学モデル分析と検証
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26380316
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
石川 利治 中央大学, 経済学部, 教授 (80266262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 昭夫 中央大学, 経済学部, 教授 (50149473)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 競争様式 / 専門化経済 / 多様化経済 / 生産工程の細分化 / 移転価格 / 生産工程の立地 |
Outline of Annual Research Achievements |
空間経済の下で、小売経営間の競争は運賃率の低下で開始される。競争開始から競争均衡の成立までの一連の機構の解明を本年の最初の課題とした。この分析において競争均衡の在り方は、小売経営間における競争様式に依存し、レッシュ型の競争においては財の価格は高くなり、市場地域の広さは狭くなる。他方、グリーンハットーオータ型においては価格は低く、市場地域は広くなることを明らかにした。 次いで生産経営に視座を移動させ、生産工程が細分化され、細分された工程が空間的にも分離されることの理論的裏づけを、移転価格制を用い、生産関数と賃金率の分析を中心にしておこなった。生産工程において専門化の経済と多様化の経済が生じ、賃金率が低下する場合、生産経営の利潤は当然増加する。専門化の経済と多様化の経済がともに生じる場合、前者は生産経営の生産量を低下させるが、後者は生産量を増加させることになる。さらにこれらの経済の増加と賃金率の増加はともに最終製品を組み立てる国の雇用量を低下させることを示した。 上記の小売および生産経営の分析を統合するする分析枠組みを形成し、小売市場の競争の様式として、生産工程の空間的分離を最も引き起こしやすいグリーンハットーオータ型とした。この想定の下で生産経営が行う生産工程の空間的分離と雇用量の変化を明らかにした。さらに細分され空間的に分離された工程が立地する地域経済が工程の移転によりどのように変化するかを考察した。これにより移転する工程における賃金率がある一定以上であれば、地域の所得上昇に寄与し、それに満たない場合には地域の所得水準は低下することを理論的に示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
集積形成から集積の変貌と集積構成の再編までの一連の機構に関する理論的分析は終了し出版社の協力もあり、学術書への掲載準備の段階にある。 細分された工程の立地決定問題とそれに対する立地因子の抽出は70%ほど達成している。学会開催の時期と首尾よくタイミングが合い立地決定に関する成果は学会で公表し学術書籍への準備段階にもある。立地因子の抽出に関しては分類、整理の段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
最初に集積生成から集積再編までの機構に関する理論分析を先進工業国の工業地域で検証を行う。 次いで移転価格制が各国においていかに機能しているかを各種資料から考察し日系企業への聞き取り調査を推進する。 途上国への生産工程の立地決定において工業団地と都市体系がいかに影響するかを年度後半から分析を行う。
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Causes of Carryover |
集積生成から集積再編成までの機構と移転価格価格制に関する理論分析と学会発表を中心として研究を推進してきた。これにより上記の実証分析のための資料収集とその解析費用が抑えられることになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
理論的分析から引き出された結果の既存工業地域での検証と移転価格制に関する途上国での資料収集と聞き取り調査、得られた資料の整理、解析を中心に助成金を配分してゆく計画である。
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Research Products
(6 results)