2014 Fiscal Year Research-status Report
発展途上国における金融包摂の貧困削減効果に関する研究
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26380334
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
井上 武 南山大学, 総合政策学部, 准教授 (20450546)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 金融包摂 / 貧困削減 / 国際送金 / 郵便貯金 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は研究課題について①論文原稿の執筆、②国内研究者との意見交換、③文献の収集、そして④対外広報活動を行った。 ①論文原稿の執筆については、予てより作成していた本研究課題に関する原稿を2本完成させた。1つは、国際送金の流入拡大が発展途上国における金融アクセスを進展させる可能性についてアジア諸国のパネルデータを用いて分析した原稿である。もう1つは、金融アクセスの進展が経済成長を高める潜在性を持っているかについてサブサハラアフリカを対象に実証的な分析を行った。金融アクセスはフォーマルな金融サービスへのアクセスを示し、狭義の金融包摂として位置づけられている。これら一連の研究を通じて、研究課題である「金融包摂の貧困削減効果」を考えるための全体的な構図を描くことができた。なお、上述の論文はいずれも2015年度に公刊される海外学術雑誌の特別号に掲載される予定である。 ②国内研究者との意見交換については、2014年12月と2015年3月の2回に渡り、神戸大学を訪問し、同大学の研究者と会合の機会を持った。この意見交換を通じて金融包摂の経済発展における位置づけとともに、国際金融と内国金融における位置づけを明確に理解することができた。 ③文献の収集については、2015・16年度に予定している海外調査と論文作成のための必要文献として『郵政統計年報』と『Microfinance India』の収集を行った。『郵政統計年報』は日本における金融包摂の歴史を検証するために、そして『Microfinance India』はインドにおけるマイクロファイナンス機関を通じた金融包摂を検証する目的で用いる予定である。 ④対外広報活動については、新たに個人ホームページを開設し、本研究課題の現状や成果を掲載するフラットフォームを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内研究者との意見交換を行い、文献収集をほぼ終了し、先行研究のサーベイは予定通り進んでいることから、この点では研究は順調に進んでいる。他方、海外研究者との意見交換は実施することができず、このため、全体として進捗は「おおむね順調に進展している」と評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は上半期に文献を整理し、先行研究の論点をさらに明らかにすることで、下半期には研究成果を纏める。 2016年度のできるだけ早い時期に海外研究者と意見交換する機会を持ち、2016年度の半ばに研究成果を国際学会で報告する。そして、全体的な見直しを行った後、年度末に最終成果を報告書として提出する。
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Causes of Carryover |
2014年度に計画していた海外研究者との意見交換を行うことができなかったことから、使用額が当初計画から変更になった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度の上半期に海外研究者との意見交換の機会を持つことを予定しており、その際に支出することを計画している。
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Research Products
(4 results)