2015 Fiscal Year Research-status Report
地域イノベーションシステムとしての京都老舗企業群に関する実証的研究
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26380342
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
松岡 憲司 龍谷大学, 経済学部, 教授 (40141668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 淳 龍谷大学, 経済学部, 教授 (10244766)
山西 万三 龍谷大学, 経営学部, 教授 (20619225)
辻田 素子 龍谷大学, 経済学部, 教授 (40350920)
木下 信 龍谷大学, 経済学部, 講師 (60396265)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 老舗企業 / イノベーション / 古文書 / 全要素生産性 / ネットワーク / インフォーマルな関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
老舗企業への聞き取り調査は、西陣など織物業を中心に実施した。その成果として山西万三「京都の和装産業と地域課題」において、突き抜けた革新の必要性を強調した。また研究協力者の北野裕子氏は「伝統産業のグローバル化と若手の育成―丹後織物産地の挑戦と課題」において、伝統がありながら衰退著しい丹後地域の織物業の若手経営者によるイノベーティブな活動について論じた。 昨年度に引き続き、昨年度に写真撮影を行った石田老舗の私家文書古文書の検討を行った。検討した古文書は、昨年度に検討した名簿2点との関連が最も深いとみられる「明治丗五年一月吉日 原料買入帳」である。 調査会社から入手したデータにもとづいて全要素生産性(TFP)の計測を行った。この成果は論文にして公表する準備を進めている。 京都の老舗におけるイノベーションを支える地域の仕組みの調査として、老舗企業に対するアンケート調査を開始した。特にイノベーションを支える地域の仕組みとして、イノベーションに関するアイデアや具体的コンセプト作製、製造、事業化の各段階で、どのような人間関係から着想を得たのかという調査項目を設けた。これは、計画でも掲げているインフォーマルな人間関係の果たしている役割を明らかにしようとするもので、アイデアの段階から事業化へ至る諸段階につれてインフォーマルな関係からフォーマルな関係に移っていくのではないかという仮説を検証している。また「知識の創造・普及のサブシステム」についても、このアンケート調査の中で公設試や教育機関の果たす役割についての設問を設けた。本アンケートは3月15日に、京都府下の老舗企業1373社に発送した。 京都老舗の会による欧州老舗企業との交流事業に参加し、松岡がイタリア・フィレンツェで開催されたシンポジウムにおいて総括コメントの役割を担った。その後、交流事業の報告会において松岡と辻田が報告を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究はほぼ計画通りに進んでいる。 ①老舗企業の訪問調査は継続的に実施している。 ②社史については継続して調査しており、他大学図書館における社史所蔵状況についても調査しており、龍谷大学では所蔵していない社史にも調査を拡げつつある。 ③帝国データバンクより購入した企業データにもとづいて、生産性の計測を行った。 ④当初計画にはなかったが、欧州の老舗調査を実施し、京都と欧州の老舗比較を開始した。これは昨年度から実施している海外研究者との研究交流を促進する上でも効果があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
①平成27年度末に発送した老舗企業に対するアンケート調査の結果を分析する。その回答の分析を通じて、特徴あるイノベーションに挑んでいる老舗を選び、その企業を中心に聞き取り調査を進める。特に、着想の段階によるインフォーマル/フォーマルなネットワークの推移というわれわれの仮説を検証する。また公設試や研究/教育機関が「知識の創造・普及のサブシステム」として機能しているかどうかも、アンケート結果を通じて分析する。アンケートの中に金融機関に関する設問も設けているので、金融機関が「知識の創造・普及のサブシステム」としての役割を果たしているかどうかを検討する。 ②調査会社より得たデータと今回のアンケートの結果を比較検討する。また東京で行われた老舗調査との比較も計画している。 ③最終年度であるので、これまでの研究成果を踏まえて京都型の地域イノベーションのモデルを構築する。それにもとづいてイノベーションを活発化するための政策提言と行い、それをシンポジウムやセミナーを通じて、老舗関係者の意見を得て、分析モデルを改良する。学会報告や論文投稿によって研究成果を一般に公開する。
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Causes of Carryover |
アンケート調査に当たり、調査票送付が予定より遅れてしまい、回収が年度をまたぐことになった。そのため、集計作業の外注費として予定していた金額が残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
回収されたアンケートの集計作業の外注費として使用する計画である。
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[Book] イシダ2015
Author(s)
山西万三 ほか
Total Pages
135
Publisher
龍谷大学京都産業学研究センター