2016 Fiscal Year Research-status Report
地域イノベーションシステムとしての京都老舗企業群に関する実証的研究
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26380342
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
松岡 憲司 龍谷大学, 経済学部, 教授 (40141668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 淳 龍谷大学, 経済学部, 教授 (10244766)
山西 万三 龍谷大学, 経営学部, 教授 (20619225)
辻田 素子 龍谷大学, 経済学部, 教授 (40350920)
木下 信 龍谷大学, 経済学部, 講師 (60396265)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イノベーション / 老舗 / 伝統 / 製造業 / 同族 / ファミリービジネス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度末に京都の老舗1373社に発送したアンケートを本年度に回収した。366社より回答を得、回収率は26.7%であった。本研究グループでは2011年にも京都の老舗を対象としたアンケートを実施ししており、今回調査との比較によって、京都老舗企業の現状と変化を明らかにした。その結果、売上高増加企業の割合は増えているものの、同業他所との比較では「よい」「ややよい」と答えた企業の割合は減少した。これらの結果は、アンケート結果の報告書として、アンケート回答企業や行政機関に送付した。 老舗企業の経営者のイノベーションに関する姿勢を社名・屋号、社是・社訓・家訓 、開発体制、価格体系、仕入先・原材料調達先、外注先、販売先・顧客、販売網・流通チャネル など18の項目について「変えたくない」、「検討中」、「変えたい」、「少し変えた」、「変えた」で答えてもらった。先代までの経営者についても同様の姿勢を問い、先代までの経営者と現経営者の姿勢を革新に対して積極的か消極的かで分類すると、先代まで消極的で現経営者も消極的という「伝統重視型」が36.6%でもっとも多く、先代までも現経営者も積極的という「変革活動継続型」は32.9%であった。東京の老舗に関する類似の研究では「変革活動継続型」が36.4%でもっとも多かったのと対照的であった。これより京都の老舗は東京よりも保守的、あるいは伝統重視型であることがわかった。 順序ロジットモデルを使い回帰分析をおこなった結果、先代経営者の姿勢がもっとも影響していることがわかった。われわれはこれを「社風」と名付けた。企業規模が大きいほど革新に積極的であること、製造に関わっている方が革新に積極的であるという結果が出た。また、現経営者が創業家の一族である方が革新に積極的であった。これは創業一族の方が自由に意思決定できるためと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究はほぼ計画通りに進んでいる。 27年度に発送したアンケートの回収を今年度に行い、その結果の分析によって、京都の老舗の特徴を明らかにできた。 老舗企業の訪問や、社史の分析なども継続して進めた。 研究計画書では平成28年度をまとめの年としていたが、アンケート結果にもとづく計量分析の結果を学会発表という形で成果を公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケート調査にもとづく老舗のイノベーション要因に関する計量分析について、日本経済政策学会の西部部会での報告へのコメントを生かした改訂版を平成29年12月の日本経済政策学会国際会議で報告する予定である。 またアンケート回答企業の中の同族企業(ファミリービジネス)だけを抽出し、老舗の中でもファミリービジネスにおけるイノベーションについて、再度計算を行い、フランスのビジネススクールINSEADで秋に予定されている国際会議Family Enterprise Dayにおいて報告することを目指している。 これらを踏まえ、老舗(長寿ファミリビジネス)の国際比較研究に取り組みたいと考えている。
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Causes of Carryover |
国内外の国際会議での報告したいと考えたが、平成28年度中の会議はすべて終わっていたため、平成29年度の会議での報告を目指すことにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
日本経済政策学会が主催する国際会議(沖縄にて平成29年12月開催予定)、またアンケート回答企業からファミリービジネス(同族企業)を抽出して再計算し、フランスのビジネススクールINSEADが主催するFamily Enterprise Dayという国際会議(フランス・フォンテンブローにおいて平成29年10月開催予定)での報告のための旅費として使用する予定である。
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