2015 Fiscal Year Research-status Report
ネットワーク形成と経済成長に関する政策分析とシミュレーション
Project/Area Number |
26380350
|
Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
坂上 智哉 熊本学園大学, 経済学部, 教授 (50258646)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 康彦 熊本学園大学, 経済学部, 准教授 (80331073)
宇野木 広樹 中九州短期大学, その他部局等, 講師 (80626721) [Withdrawn]
井上 寛規 京都大学, 経済研究所, 研究員 (90635963)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 経済成長 / ネットワーク外部性 / 進化計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,我々の想定するネットワーク外部性を持つ経済成長モデルに合致する理論モデルの検討と構築を進めた.例えば,平均場近似を応用して他ノードのネットワーク状態を近似し,それを元に各ノードがネットワークを結ぶか否かを戦略的に決定する理論モデル等の検討を行った.結果として,ネットワークを通じて外部性が伝播する経済成長モデルとしてラムゼイ=キャス=クープマンス・モデルをベースにしたモデルが適しているのではないかという結論に至った. そこで,複数の国がネットワークによって連結しており,各国経済はラムゼイモデルにネットワーク外部性を導入した分権的なモデルを分析した.その結果,各国間でリンクが形成される場合の各国が受ける影響と,リンク形成のインセンティブの変化に関する帰結を得た. また,他のモデルへの拡張として,複雑ネットワーク上にて協調ゲームを行う先行論文の研究も進めた.これまでの理論モデルにどのようにアイデアを組み込むことができるのか,モデル内の変数をどのようなデータに置き換えてシミュレーションを行うべきかについての検討も進めた. そのうえで,ネットワーク外部性を持つラムゼイモデルの解析的な分析を行った.その結果,自国以外の他国間でリンクが形成されると,自国が他国とリンクを形成しようとするインセンティブが高まることが確認された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の目標は,進化計算に基づくシミュレーションが可能な理論モデルを構築することと,そのシミュレーションであった.実際には,ラムゼイモデルに基づくモデルを改良し,シミュレーションを行うことができたので,おおむね順調に進展しているといえる.ただし,意味のあるシミュレーションを行うためには,異質的な経済主体の元で実施することが望ましいが,この点の理論的研究とシミュレーション分析が課題として残っている.
|
Strategy for Future Research Activity |
ラムゼイモデルにネットワーク外部性を加えたモデルのコンピュータシミュレーションによる数値解析を行う.ネットワークは所与とし,完全グラフ,スター型グラフ,空グラフのケースを考える.ネットワーク外部性の影響の度合いを示すパラメータによって効率的なネットワークが異なるのかをシミュレーションによって明らかにする. 研究成果は国内外の学会にて報告を行う.
|
Causes of Carryover |
国際学会への参加についての旅費が当初の見積もりよりも安くついたため.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度中に国内・国際学会にて報告を予定しているため,その旅費として使用する計画である.
|