2016 Fiscal Year Research-status Report
教育と震災が賃金分布に与える影響に関するミクロ計量分析
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26380382
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
安井 健悟 青山学院大学, 経済学部, 准教授 (80432459)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 賃金分布 / 震災 / 教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
学校教育の収益率が賃金分布の各分位によってどの程度異なるのかを確認することを目的とした論文と阪神淡路大震災が17年を経て賃金分布に与えている影響を推定することを目的とした論文についての改訂を行った。 前者の論文においては、個票データを用いて学校教育の収益率を推定し、その収益率が賃金分布の各分位によってどの程度異なるのかを分位点回帰により明らかにした。得られた結果は以下の通りである。賃金の低分位よりも高分位において教育の収益率は大きく、現行の学校教育は欧米諸国と同程度に賃金格差を拡大させていると言える。特に低賃金層における収益率は経時的に低下する傾向があることが確認された。 後者の論文においては、2012年の個票データを用いて、1995年の阪神淡路大震災が17年後の賃金分布にどのような影響を与えたのかを実証的に明らかにした。具体的には、Machado and Mata(2005)の改良版の手法により、被災者と非被災者の賃金分布の差を二つのグループの属性の差の部分と震災の影響の部分に分解し、震災の影響の部分が賃金分布のどの分位で大きいかを推定した。そして、被災前の属性の違いで影響が異なるかも分析を行う。 得られた結論は次の通りである。第1に、Blinder-Oaxaca分解によると、震災から17年という長期の後にも男性労働者の平均賃金に対して震災は負の影響を与えていた。第2に、DFL分解によると、震災は中賃金男性の賃金を引き下げていた。第3に、Machado-Mata-Melly分解によると、震災は中賃金男性の賃金を5.0~8.6%引き下げ、高賃金女性の賃金を8.3~13.8%引き下げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
所属大学に変更があり、前任校と新任校の教育活動に多くの時間を割かざるを得なかったことと家族の事情のために研究の進捗が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
本来であれば2016年度が最終年度であり、論文をまとめて投稿する予定であった。しかし、研究の進捗が遅れたことにより補助事業期間を延長し、2016年度に予定していた計画を2017年度に実施する。
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Causes of Carryover |
所属大学に変更があり、前任校と新任校の教育活動に多くの時間を割かざるを得なかったことと家族の事情のために研究の進捗が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本来であれば2016年度が最終年度であったが、研究の進捗が遅れたことにより補助事業期間を延長したので、2016年度の元々の使用計画を2017年度の使用計画とする。
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