2016 Fiscal Year Research-status Report
電球工業におけるグローバル競争の展開と日本企業の対応に関する歴史実証研究
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26380419
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平沢 照雄 筑波大学, 人文社会系, 教授 (70218775)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電球産業 / グローバル競争 / 産学官連携 / 海外事業展開 / LED電球 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、グローバル競争下における電球工業の展開に関する経済・経営史的な解明を目的として、(1)日本電球・照明器具メーカーの事業展開、(2) 他産業・企業における展開との比較分析に重点をおいて研究を進めるとともに、(3)当該研究期間(3年)の最終年度として、これまでの研究の総括と展望を行うことを意図して研究を進めた。このうち(1)に関しては、昨年度に行った秋田における新型LED電球の開発・製造への取り組みに関する実証分析に続いて、徳島県、北九州市、長野県飯田市におけるLED電球および同関連製品の開発・製造に関する調査・研究を進めることができた。昨年度の事例研究では、新たな製品開発に際して、異業種交流や産学連携などの取り組みが重要であったことを踏まえて、新たな事例においても同様な取り組みが展開されたかどうかに関する調査を重視した。また(2)に関しても、日立市と飯田市における精密機械産業に着目し、新製品開発、異業種交流、産学連携、海外事業展開といった取り組みを中心に調査・研究を進めた。その過程で、取り組みの1つである海外事業展開が、直ちに地域産業の空洞化につながるとは言えないとする知見も提示した。さらに(3)については、①電球工業の歴史および同産業における世界的なイノベーションのダイナミックな展開のなかに、本研究で明らかにしてきた取り組み事例を位置づけること、②電球工業における取り組みを、同時期に他産業で展開されたそれらと比較しつつその特徴を明らかにする方向で研究の取りまとめを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、「研究実績の概要」でも記したように、(1)徳島、北九州、飯田地域におけるLED電球および関連器具事業の展開と、(2)日立と飯田地域における精密機械企業における事業展開に関する調査・研究を進めることができた。このうち(1)に関しては、昨年度に進めた秋田以外の地域における取り組みを明らかにすることができ、事例を豊富化することができたと自己評価している。また(2)に関しても、2つの地域におけるグローバル競争への対応について踏み込んだ調査・研究を実施できた。その成果として、日立市における企業の取り組みに関しては、2つの論文を発表することができたことから、順調に研究を進めることができたと自己評価している。しかしその一方で、(1)のうち飯田における取り組みに関しては、関連文献の収集・分析は進展したものの当事者・企業への聞き取り調査を実施する時間的余裕がなかった。また、(2)に関しては、2地域のほかに八戸・三沢調査を計画していたが、天候や学内業務等の事情から実施を見送ることになった。以上から、全体的には当初予定していた研究がやや遅れている状況にあるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
前記の進捗状況を踏まえ、今後は、平成28年度に実施予定でありながら時間的余裕がなく実施できなかった飯田と八戸・三沢における現地調査を実施することを計画している。それによって、グローバル競争下における電球産業での取り組みに関する事例の豊富化を進めることができるとともに、精密機械工業における展開についても多角的な解明を進めることが期待でき、電球産業との比較分析をいっそう推進することができると考えている。
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Causes of Carryover |
平成28年前半に北海道への学会出張による情報収集を予定していたが、急遽、転居の時期と重なってしまったため出張を見送らざるをえなかった。また飯田では資料調査を実施し得たものの、その後に聞き取り調査をする時間的余裕が得られなかった。また同年度後半には、八戸・三沢で調査を予定していたが、天候(風雪等)と年度末の大学公務との関係から実施が難しい状況となってしまったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に実施できなかった2つの調査のうち、平成29年度前半期(夏)に八戸・三沢での現地調査を実施するとともに、調査対象者との日程調整を早めにして、飯田・伊那地域での現地調査を2~3回ほど実施する予定である。
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Research Products
(2 results)