2015 Fiscal Year Research-status Report
「大同生命文書」の総合的研究―リレーションシップバンキングの系譜―
Project/Area Number |
26380436
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
結城 武延 東北大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (80613679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高槻 泰郎 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (70583798)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 経済史 / 金融史 / 関係的融資 |
Outline of Annual Research Achievements |
近世担当の高槻泰郎はWorld Economic History Congress 2015にて“Property Rights Protection in 18th century Japan Revisited: the Case of Rice-Backed Security Exchange Market”を報告した。堂島米市場において所有権の保護がどのように行われたのか明らかにしたものであり、大名貸しが取引をする市場がいかなる機能を果たしていたのかを解明する上で重要な研究である。 近現代担当の結城武延はWorld Economic History Congress 2015にて“Business activities of the former feudal lords in Meiji Japan”(“Nobility and business. The contribution of the aristocracy to economic development in the 18th-19th centuries”(organized by Silvia A. CONCA MESSINA, Takeshi ABE)を報告した。株主名簿より華族を抽出し明治前期における資本蓄積の実態について、投資家の属性の側面からの解明を試みている。出資者として加島銀行並びに大同生命の位置づけを把握する上で必要不可欠な基礎研究となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近世担当の高槻泰郎はWorld Economic History Congress 2015における“Property Rights Protection in 18th century Japan Revisited: the Case of Rice-Backed Security Exchange Market”によって、堂島米市場の制度的基盤を明らかにした。いうまでもなく、個別の大名貸の行動原理の背景は市場の制度的基盤が前提となっており、これをふまえて、加島屋をはじめとした個別の大名貸の実態について分析及び論文執筆を進めている。 近現代担当の結城武延はWorld Economic History Congress 2015における“Business activities of the former feudal lords in Meiji Japan”(“Nobility and business. The contribution of the aristocracy to economic development in the 18th-19th centuries”(organized by Silvia A. CONCA MESSINA, Takeshi ABE)によって、大量観察による資本蓄積と投資家の属性の関係について解明を試みた。こうした大量観察を背景として、出資者として加島銀行並びに大同生命の位置づけ、とりわけ、大阪における役割が把握できる。現在、加島銀行の発展過程について分析及び論文執筆を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、「大同生命文書」(大阪大学経済学部・経済学研究科歴史準備室所蔵)の読解と分析、それに基づいた研究成果の公表が主たる研究計画である。具体的には以下である。 (1)近世:高槻泰郎 加島屋の掛合控えなどを主要資料として、大名貸しである加島屋が大名とどのように交渉し、いかなる帰結を迎えたのかを明らかにする。研究成果は所属学会(史学会、社会経済史学会や日本経済学会)にて報告、論文投稿を行う予定である。 (2)近代:結城武延 昭和金融恐慌及び昭和恐慌における加島銀行内部資料及び日本銀行金融研究所アーカイブ所蔵資料を用いて、当該恐慌期に解散、整理を余儀なくされた加島銀行の破綻及び清算過程について明らかにする。研究成果は所属学会(経営史学会、社会経済史学会や日本金融学会)にて報告、論文投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
近世担当の高槻泰郎及び近現代担当の結城武延はともに昨年度の資料調査により得られた資料の分析に注力したため、資料調査の回数が予想よりも下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
近世担当の高槻泰郎は三井文庫にて、近現代担当の結城武延は日本銀行金融研究所にて資料調査を開始する予定であり、差額分は当該調査費用に充てる予定である。
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Research Products
(6 results)