2015 Fiscal Year Research-status Report
J-form(知識創造の包括理論)の構築:環境配慮型企業を中心とした比較事例研究
Project/Area Number |
26380461
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤井 大児 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (50346409)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福永 晶彦 宮城大学, 事業構想学部, 教授 (10279549)
地村 弘二 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (80431766)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | イノベーション / 知識創造 / 青色LED / ゲーム / ジーンズ / リサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
過年度には、知識創造の統合理論を考える上で中核となる、逸脱的プレイヤによる技術的パラダイム転換の戦略を明らかにすることができたと考えている。過去の成果をまとめて岡山大学経済学会研究叢書第46冊として公表した。今後加筆修正を付して市販化する予定で、出版社についてもほぼ決定している。主な内容として、前半部分は一橋大学大学院商学研究科在籍時に行った青色LED開発史の事例研究であり、また後半は現職着任以降行った、家庭用ゲームソフト、デニムジーンズの産地型集積、再生プラスチックを利用した食品用トレイなどの事例研究である。これらを題材としてイノベーションの発生メカニズムについて探り、Dosi(1982)のいう技術的パラダイムが大きく転換される過程で、未だ市場ではプレゼンスを確立できていない逸脱的プレイヤが、いかに小さな資源的余力のもとで大きなインパクトを生み出す技術的イノベーションに到達するかを説明しようとした。 また今回の研究題目で示唆した、イノベーションのマネジメントの基礎となる知識創造のミクロ理論を確立する作業に着手した。研究分担者とは緊密に連携し、岡山大学にて公開研究会を実施した。平成27年7月7日には「地域振興組織のマネジメントー茨城県大洗町・大洗クリエイティブマネジメント」として福永晶彦氏が、「平成27年7月14日には「ヒト脳と心理機能の研究方法」として地村弘二氏がそれぞれ講演を行い、引き続き研究打合せを行うことで以下の方針を確認した。イノベーションを認知レベルでのインパクトとして捉えた場合には、元の状態との変化率が大きく認識されるか、それとも微増的改善として認識されるかによって人々の技術革新に対する評価は変わると思われる。この視点に立ち、今後研究責任者が中心となって、論文執筆の作業を進めたいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過年度からの出版計画を確実に実行することが今年度前半の最大の目標である。研究叢書は、学部予算によって印刷製本し、全国の大学附属図書館等に送付する形をとるために、実際に市販化するためにはさらなる加筆修正・校正作業を経なければならない。この作業を7月いっぱいまでに終了することが今年度最重要の作業と考えている。 またイノベーションを認知レベルでのインパクトとして捉える見方は、それほど一般的ではない。また知識創造のミクロ理論の確立を目指す最大の眼目は、イノベーションのマネジメントの最も基礎となる部分に対して、認知神経科学レベルでの実証的基礎を確立することにある。例えば全くの無秩序の中に一定の秩序だった認識を確立するような初歩的な発見の方が、それがいかに原初的な発見であったとしても、のちの連続的・漸進的革新よりも高く評価される可能性がある。ただしこれらの点についてはまだ着想段階に留まっている。今年度いっぱいは、この点を理論的背景、仮設、実験デザイン等まで構築して、紀要レベルでも構わないので論文としてまとめるということを狙っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
過年度からの出版計画を確実に実行することが今年度前半の最大の目標である。研究叢書の文字組みデータを印刷業者から受け取って、Adobe SystemのinDesignというDTPアプリケーションを用いて、研究者自身が推敲作業を始めている。出版社とは出版契約の大まかな内容や、今後の推敲作業のサポートなどについて話し合いを行っている。 後半については、基本的には研究責任者と研究分担者・地村氏との共同執筆の形をとる予定で、現在も緊密な連携を図っている。ただし今年度前半は実質的に研究責任者がこの作業に入れないので、夏以降の実施を待たねばならない。ただし着想はあるので、効率的な文章作成に努め、最終的には実証研究デザインまで議論を落とし込むことが出来れば理想的だと思われる。
|
Causes of Carryover |
少額なので消耗品費として使用させて戴く。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
少額なので消耗品費として使用させて戴く。
|
Research Products
(2 results)