2016 Fiscal Year Annual Research Report
Life and Anxiety on Future life after the Great East Japan Earthquake: Empirical Analysis on Network and Social Stratification
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26380655
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
村瀬 洋一 立教大学, 社会学部, 准教授 (50301578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊島 慎一郎 大分大学, 経済学部, 准教授 (60315314)
飯島 賢志 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (00380676)
橋本 摂子 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (70323813)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 社会階層研究 / 東日本大震災 / 福島原発事故 / 社会ネットワーク / 関係的資源 / 地域比較 / 防災研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに被災地と東京都における統計的社会調査実施を終え、本年度はデータ分析と報告書作成のための研究会や、データファイルの内容チェックなどの各種作業を行った。分析結果については、研究メンバーが精力的にデータ分析に取り組み、学術論文執筆や、日本社会学会や、海外での発表を含む学会発表を行なった。 これまでの主な分析結果をいくつか挙げると、震災による被害金額と社会階層は、有意な関連はない。しかし将来不安感は社会階層に関する変数との関連があった。また、原発政策志向は、年齢や社会不公平感に規定されており、高年齢ほど原発に否定的だった。放射能への不安感については、未成年の子供と同居している世代は、不安感が強まる傾向があった。また、被災者支援については、仙台市よりも福島市において、さらなる支援に否定的な回答が多かった。健康と社会経済的要因の関連についての分析では、収入や教育水準が睡眠問題の発生に影響することが知られているが、この関係は、階層帰属意識によって変動することが明らかになった。階層帰属意識が低・中程度の集団では、教育水準や収入が睡眠問題に影響したが、階層が高い集団では、この関連はなかった。また、主観的被災者意識についての分析では、客観的被害の程度はもちろんのこと、震災の記憶、将来や原発に対する不安が、規定因となっていることが明らかとなった。 東日本大震災から既に6年以上が経過した。現時点での大きな問題として、復興政策や原発政策に関する国民的合意がないことと、また、被災地の人々や生活について、多くの国民の関心が低下しており、関心や記憶の風化が指摘されることが挙げられる。しかし、被災地とそれ以外の地域を比較しつつ、意識や生活の実態について分析可能な社会調査は少なく、今後の課題である。さらに成果発表を行い、学問的な業績とするだけでなく、今後の政策形成の参考とすることが重要であろう。
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Research Products
(18 results)