• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2014 Fiscal Year Research-status Report

中国農村社会における農地の生活保障的機能の変容と「新農保」制度に関する実証研究

Research Project

Project/Area Number 26380685
Research InstitutionIwate Prefectural University

Principal Investigator

劉 文静  岩手県立大学, その他部局等, 准教授 (80325927)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords農地の生活保障的機能 / 老後生活 / 新農保 / 農村社区 / 都市と農村の二元的構造 / 都市化の進展 / 村落構造 / 家族関係
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、中国農村の急速な都市化と高齢化に伴って、老後の生活保障にかかわる「新農保」制度の導入状況について実証的に調査することである。その狙いは農村社会では国の政策がどのように浸透されているのかを検証し、政策の有効性と執行段階の問題点および問題解決の糸口を見出すことである。具体的には、経済発展段階が異なる河北省青県と河南省社旗県の事例調査に取り組むことにより、各調査対象地の特徴的な実態を明らかにする。
本年度において、研究の目的に沿って中国農村での実地調査を実施した。諸般の事情により調査対象地を湖北省に変更したものの、予定通りの現地調査を行うことができた。
昨年9月に湖北省武漢市黄陂区(もとは県)王家河街道弁事処(章華村と張家搾村の2ヶ村)を訪問し、農村の年金制度である「新農保」制度の実施状況について調査を行った。黄陂県は都市化が進んでいる大都会の近郊農村であり、高齢化は両村とも進んでいるものの、都市化の進展が大きく異なっている。また、3月には同目的で、江漢平野の漢川市(城隍鎮・湾潭郷および湾潭村)および丘陵地帯の紅安県(七里坪鎮および福徳橋村)を訪問した。漢川市は都市化が急速に進み、農地の評価額が高い地域である。一方、紅安県は典型的な貧困地帯であり、農地の価値が低い地域である。黄陂県、漢川市、紅安県は経済発展の段階と都市化の進展において大きな差がでているため、比較する意義が大きい。村幹部や市政府の関連部門、県政府関連部局へのインタビューにより、同じ農業中心の地域とはいえ、都市化と工業化の進展差によって農村社会福祉における整備の難しさが異なる側面を呈示していることが分かった。
本年度は予備調査段階である。農家調査を実施する前に、村幹部へのインタビュー調査をしたことで、今後より深い段階にあたる農家訪問のためのデータ収集に繋げることができたと感じている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度において、おおむね研究計画通り研究を進めてきている。ただし、調査対象地については大きな変更があり、また調査日程の短縮もあった。なぜ対象地を変更したのか、その理由については、中国社会科学院と河北省社会科学院の研究協力者との検討において、「新農保」制度はできてから急速に、しかも全国的に進められているため、予定されたかつての政策執行の試験的拠点地であった河北省の青県および河南省の社旗県が、発展段階の異なった比較研究としての意義が薄くなってきたと、結論付けたためである。また、現在では以前よりも省にまたがる調査活動において制限がある、といった助言を受けたことも理由である。そこで、調査対象地見直しの作業を行った。結果として、これまでに特に東部中国農村を対象に研究を進めてきたことを勘案し、中部中国を対象地にして、より平均的な中国農村の姿を観察することができるのではないかと考えた。また、研究課題の目的に沿った対象地の選択をすることで、農業者年金制度および農地の社会保障的役割について観察することができるならば、研究の価値がより意義の大きいものになるのではないかという結論にたどり着いた。幸いに、湖北省にある華中農業大学の研究協力者との出会いもあった。彼は私と同じ農村社会学分野の研究者であるため、意思疎通が容易である。そのため、共同研究を昨年の9月からスタートすることができた。初段階の調査時期であるため、やや短縮した日程で9月と3月に予備調査的な現地調査作業をこなすことができた。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究推進方策としては、平成26年度の予備調査対象地である湖北省武漢市黄陂県(もとは黄陂県)王家河街道弁事処、江漢平野の漢川市(2ヶ鎮の城隍鎮と湾潭郷のうち1つの鎮に絞る)、さらに紅安県(七里坪鎮福徳橋村)を再度訪問し、それぞれの村において、農家訪問による聞き取り調査を実施する予定である。

Causes of Carryover

本年度において、調査対象地については大きな変更があり、また調査日程の短縮もあった。それにもかかわらず、おおむね研究計画通り研究を進めてきている。1回目の調査として、9月と3月に予備調査的な現地調査作業を行うことができた。調査日程が短縮されたため、予定した旅費などが全額使用するができなかった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

本年度は予備調査段階である。農家調査を実施する前に、県政府や鎮政府および村幹部へのインタビュー調査をしたことで、今後より深い段階にあたる農家訪問のためのデータ収集に繋げることができた。来年度において、予備調査した湖北省の3ヶ所においてより緻密な実地調査が予定されており、主に現地調査に予算を使用する計画を持っている。具体的には湖北省近郊農村である武漢市黄陂区(もとは県)王家河街道弁事処(章華村と張家搾村の2ヶ村)、江漢平野の漢川市(城隍鎮・湾潭郷および湾潭村)および丘陵地帯の紅安県(七里坪鎮および福徳橋村)を訪問し、農家訪問による聞き取り調査を中心に行う予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2014

All Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Presentation] Agricultural Reforms pertaining to the Collective Ownership of Mountain Farmland in China2014

    • Author(s)
      Wenjing Liu-Wuerz 劉 文静
    • Organizer
      Asian Rural Sociology Association
    • Place of Presentation
      National University of Laos Vientiane City, Lao PDR
    • Year and Date
      2014-09-02 – 2014-09-05
  • [Book] ASIAN RURAL SOCIOLOGY Ⅴ "From Challeges to Prosperous Future in Rural Asia"2014

    • Author(s)
      Wenjing Liu-Wuerz 劉 文静
    • Total Pages
      402(116-121)
    • Publisher
      Asian Rural Sociology Association(ARSA)

URL: 

Published: 2016-05-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi