2017 Fiscal Year Annual Research Report
Globalization and Antisystemic Movements: A Case of Semiperipheral Malaysia
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26380698
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
山田 信行 駒澤大学, 文学部, 教授 (80287002)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会運動 / 世界システム / マレーシア / 反システム運動 / 半周辺 / 労働運動 / 環境保護運動 / 民族解放運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、助成支給の最終年度に当たるため、これまでにマレーシアにおいて行ってきた調査で得られた知見を確認し、とくに充分にデータが収集されていない点について、重点的に補充調査を行った。 まず、夏期休暇中に、クアラルンプール地区およびペナン地区に出張し、現地で活動しているNGO、労働組合、および研究者・知識人を訪問し、現在のマレーシアの政治状況や社会運動の状況について、インタビューを行った。春期休暇中においても、クアラルンプール地区について、同様のインタビュー調査を集中的に行った。 その結果、2018年度5月に実施されることが公表された総選挙に向けて、様々な運動団体が離合集散を繰り返しながら、既存の連合政権に対抗する構図が新たに形成されつつあることが明らかになった。これに関連して、1990年代から指摘されてきたエスニシティから階級を基軸とする対抗軸の変化は確かに見受けられるものの、新たに再編された野党連合については、未だにエスニシティ関係を基軸とする利害関心の対抗が反映されており、必ずしも統一的な政権を担えるだけのまとまりがない可能性があることも明らかになった。他方で、階級的なイシューをより明示的にとりあげている勢力(マレーシア社会党など)については、その運動の先見性は認められるものの、数的には充分な対抗勢力を形成しえていないことも明白になった。 総じて、世界システムの半周辺に位置すると想定されるマレーシアにおいて、グローバル化を一因とする社会変動の帰結として生起している多様な社会運動が、社会変動の結果としてやはり生起している社会問題の解決を追求している実態、それがまもなく実施される総選挙の対抗軸にも反映されていることは明白となった。
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