2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Transformation Process of Familial Relationships Using Panel Data
Project/Area Number |
26380703
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
西野 理子 東洋大学, 社会学部, 教授 (50257185)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 全国家族調査 / パネルデータ / 夫婦関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、全国家族パネル調査(NFRJ-08Panel)データを用いて、家族関係の変容過程を明らかにすることにある。パネルデータを活用することにより、横断データによる知見の再検討を目指している。多種ある家族関係のなかで、まずは夫婦関係に限定して分析を進めた。研究の実施にあたっては、複数の研究協力者に依頼し、分析を担当していただいた。 夫婦関係の変化として、①夫婦関係満足度の変化、②家事分担の変化、③夫婦間の就労調整、④子どもの誕生に伴う変化、⑤子どもの成長に伴う変化、⑥職業からのリタイアに伴う変化を取り上げた。 ①満足度の変化の分析からは、結婚後経過年数に伴う満足度のU字型推移が観察されず、欧米の先行研究と同じく、配偶者に関する満足度は結婚後に下がる一方であることが確認できた。あわせて、夫婦間の会話や家事参加がその低下を食い止める効果を持つことが指摘された。さらに⑥定年退職過程をたどることにより、定年退職というイベントを契機として夫婦間の会話や家事分担が変わることが、夫婦間の満足度を上昇させていることが確かめられた。夫婦関係が一方的に低下していくのではなく、会話や家事協力が介在していくメカニズムを明らかにしたものである。そして、②家事分担を変化させる要因の検討からは、横断データ研究でこれまで指摘されてきた諸仮説の適合性が家事の種類によって異なることが示唆された。ほかに、④子どもの誕生や⑤子どもの成長にともなう変化を検討した結果からも、夫婦関係の変化が指摘された。たとえば、子どもが小学校に入学するイベントは、夫婦の生活に変容をもたらし、それが夫婦関係にも影響している。従来は、中年期の夫婦関係は変化がなく平坦なイメージでとらえられてきたが、実際にはよりダイナミックな変化がとらえられた。 これらの成果は、結果をさらに検証したうえで、1冊の書籍にまとめて刊行する予定である。
|
Research Products
(5 results)