2015 Fiscal Year Research-status Report
ヨーロッパ辺境地域における文化の政治が表象する社会空間
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26380715
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Research Institution | Keisen University |
Principal Investigator |
定松 文 恵泉女学園大学, 人間社会学部, 教授 (40282892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 宏美 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50353454)
中力 えり 和光大学, 現代人間学部, 准教授 (50386520)
佐野 直子 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 准教授 (30326160)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地域研究 / ヨーロッパ / 文化の政治 / 境界 / 言語 / 教育 / 移民 / 権力 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度はヨーロッパ辺境における文化の政治化を実証的検証するために、2回の研究会、1回の現地調査を行い、共催はしていないが本研究課題の成果の一部としてヨーロッパ各国・地域における中等教育の社会科教育の比較公開講演(早稲田大学教育総合研究所主催「変動期ヨーロッパの社会科教育―多様性と統合―」7月4日)を行い、書籍にまとめた。 第1回研究会(5月31日早稲田大学)今年度の研究・調査の検討を行った。第2回研究会(8月11日学習院女子大学)では26年度現地調査モルドバ・ルーマニアの文化境界に関する文献(Constantin Iordachi “Dual Citizenship and Policies toward Kin minorities in East-Central Europe”等)、理論の先行研究(Ruben Zaiotti 2008 Cultures of Border Control等)を各自報告し、東欧の差異と政治的背景を確認した。 現地調査(12月22日-1月3日)ポルトガル(リスボン)、スペイン(マラガ、アルヘシラス、セウタ)、モロッコ(タンジェ)、イギリス(ジブラルタル)では、①ギリシャ神話等の「ヨーロッパ」起源を遺跡に残し、ムーア人の支配期やアラブ人の支配期の痕跡と今も継承される「遺産」を観光資源として利用しつつ、宗教による差異を差別的境界構築の資源として利用しない日常の混成文化の様相、②セウタとジブラルタルにおける領有権と要塞設置から、西地中海の文化の政治が先鋭化する際の要件について再考察の必要性、③地中海を超える難民・移民とヨーロッパの緊張関係の取り締まりの強化と出入国管理の一部民営化と支配の代行業ともとれる「フロンティア」への加圧の側面が確認された。 今回の現地調査によって時間と空間における権力作用を先行研究でさらに検討する必要性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査と研究成果の公開等ほぼ計画通りに進んでいるが、2015年のヨーロッパへの難民・移民の移動およびテロ事件を受けて、計画当初想定されていた移動の自由は、より制限され、厳格な国境政策と各国間の軋轢が増している。こうした状況の変化により、文化の政治化がもたらす境界の概念により強力な政治権力の作用する緊張時の分析因子を検討せざるを得なくなった。理論的検討を踏まえてオープンアクセス版を今年度、さらなる書籍化に関しては来年度が事実の検証を考慮するならば妥当となる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、2回の研究会と1回の現地調査を予定している。第1回研究会は8月上旬に27年度の現地調査の課題である西地中海における領有をめぐる文化的差異の政治化とその先鋭化の歴史的検証、現在の移民・難民のインパクトと境界線に与える影響等の文献資料による検討会を行う。現地調査は北の境界についてカリーニングラード-エストアの文化の差異とその政治化を検証する。時期については、5月中にメール会議で検討し、8月下旬―9月、2月の時期を予定している。第2回研究会は本格的な成果の公開について、出版助成等を検討しつつ、議論を行う。
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Research Products
(7 results)