2016 Fiscal Year Annual Research Report
Social space represented by cultural politics in European peripheries
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26380715
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Research Institution | Keisen University |
Principal Investigator |
定松 文 恵泉女学園大学, 人間社会学部, 教授 (40282892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 宏美 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50353454)
中力 えり 和光大学, 現代人間学部, 准教授 (50386520)
佐野 直子 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (30326160)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地域研究 / ヨーロッパ / 社会学 / 歴史学 / 辺境 / 文化の政治 / 記憶の政治 / グローバリゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
EUあるいはヨーロッパの境界と文化の政治に関して研究会と現地調査を行い、最終報告書をまとめている。 研究会では昨年度のアルへシラス、セウタ、ジブラルタル調査の知見の検討と最終報告書で参照する先行研究の分析、検討を行った(8月9日学習院女子大学)。 現地調査は3月にポーランド(ワルシャワ、グダンスク)、ロシア(カリーニングラード)、リトアニア(ヴィリニュス)を陸路で横断し、戦勝国における集合的記憶の形成、政治的・経済的状況の変化に応じた残すべき文化の記憶の変化、国境における権力作用など以下3点の知見を得た。 1)グダンスクとカリーニングラードは、第二次世界大戦のナチスドイツとソ連との激しい攻防のあった地であり、戦後からソ連時代にはプロイセン時代の通りの名前、建物は消され、特にカリーニングラードにおいては戦車や要塞博物館など戦勝の記念碑や実物が48箇所に点在することが歴史学者であるコーチャショフ教授の案内とともに確認された。 2)一方で、グダンスクとカリーニングラードはかつての自由都市やプロイセンにおける産業や交易の繁栄したダンチィヒ、ケーニヒスベルクでもあり、東西対立が緩和された現在ではかつての街の風景の復元が計画され、進められている。世界遺産の登録、2018年のサッカーW杯などグローバル基準での文化の価値が記憶すべき街の表象にも影響を与えている。カリーニングラードのリゾート地開発はロシア各地からの買い手もあり、大規模に行われている。シェンゲン・ビザの獲得の可能性、EUでの子どもの教育のチャンスがあることなど、西と対峙する軍港だけではなく西への窓口として機能している。 3)東西対立時のような厳しさはないもの、ポーランド・ロシア国境及びロシア・リトアニア国境での検問は厳重であり、特に列車で移動において車内でのパスポートと質問の検分は緊張のある境界であることが確認された。
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Remarks |
最終報告書を恵泉女学園大学のHPにおいて掲載予定
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