2016 Fiscal Year Annual Research Report
A study for social capital in the integration of refugees
Project/Area Number |
26380735
|
Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
森谷 康文 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50455698)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 恭子 文教大学, 人間科学部, 准教授 (10331547)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 難民 / ソーシャル・キャピタル / 民族・文化的アイデンティティ / ホスト社会とのつながり・キャピタル |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、社会統合は、市民権領域、統治的領域、機能的領域、社会的領域 (Social)の社会統合を4つの領域にわけることができるが、とりわけ社会的領域において、「民族・文化的アイデンティティの保持」と「ホスト社会とのつながり」が重要であり、そこにソーシャル・キャピタルの構成要素が多く含まれることが先行研究から整理された。 次に、先行研究から得られた知見をもとに、日本とオーストラリアそれぞれで生活する難民、両国の難民支援団体へのインタビューをおこない、「民族・文化的アイデンティティの保持」と「ホスト社会とのつながり」がどのように構築されているのか、促進及び障壁となる背景について整理することを試みた。 インタビューからは、「民族・文化的アイデンティティの保持」には同じ国や地域の出身あるいは同じ民族などによるエスニックグループの有無とエスニックグループに対するホスト社会の評価が大きく影響していた。エスニックグループが、共通の目的を持ち活動していることに加え、ホスト社会から何らかの肯定的な評価を得ていたり、ホスト社会に対して貢献しているという意識やそれにともなうアイデンティティの肯定的な自己評価を得ることで強化されていた。一方、「ホスト社会とのつながり」においては、個々の難民あるいは家族によるホスト社会メンバーとの友好的な体験に加えて、ホスト社会の公用語の習得、就労の機会、子どもの教育機会、高等教育機関への進学、国籍(パスポート)や参政権の取得といったいわゆる市民権の獲得が大きく影響していた。 市民権の獲得によりホスト社会の活動に参加する機会を広げ、それによりホスト社会に貢献しているという意識が高まり、自らの民族・文化的アイデンティティも強化されるといったように、「民族・文化的アイデンティティの保持」と「ホスト社会とのつながり」は、相互に影響しあう関係であることが窺えた。
|