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2016 Fiscal Year Research-status Report

母子支援に焦点を当てたファミリーソシャルワークの事象的検証法

Research Project

Project/Area Number 26380769
Research InstitutionShukutoku University

Principal Investigator

稲垣 美加子  淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (30318688)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 長谷川 万由美  宇都宮大学, 教育学部, 教授 (70308104)
Project Period (FY) 2014-04-01 – 2018-03-31
Keywords地理的距離のある家族関係の再構築 / パーマネンシーの理論 / ファミリーソーシャルワーク
Outline of Annual Research Achievements

当該研究において、東日本大震災の被災母子家庭とDV被害を体験した母子家庭の共通の状況には「地理的距離のある家族関係の再構築」にあることが浮上した。
被災地での状況も被災5年以上を経過して、帰宅可能・困難の状況は環境的要因だけでなく、家族個々の事情によるところも明らかになってきている。特に子育てをしている家庭においては、避難先地域での子どもの養育をめぐる社会資源との関係構築が円滑であればあるほど、帰宅を躊躇させる状況にあることが聞き取りにより確認された。
また、DV被害の母子の場合は、その被害体験が過酷であればあるほど、子どもに児童虐待としてのPTSDが二次的な要支援課題を生起させ、再度の親子分離の危機を迎えることが多くの事例で確認された。この際、パーマネンシーの理論にもあるように、子どもにとって加害的な親の存在は必ずしもネガティブな存在ばかりとして評価しえない関係性や思慕の情が確認され、児童虐待の関係を第三者が側面的に加害・被害関係と断定的に評価することは、一歩あやまれば子どもからどちらかの親、最悪は両親を取り上げることになりかねない要素の存在にも気づくこととなった。
両者に共通なのは、環境的脅威や暴力的被害のおそれと、離れて暮らす親への子どもの想いや親からの関わりかけの双方向の意思の疎通や愛情の交流がもたらすストレングスやレディネスへの貢献のバランスをとった支援の必要性である。従来の居住地域で親子の暮らしや交流を再開することにリスクが生じる一方、何等かの事由で離れてくらしていても“親子”の関係には他に替えがたい資源であることが確認され、今後求められるのは「地理的距離のある家族に機能するファミリーソーシャルワーク」であると考えられる。従来の家族支援は、家族が一同に会し、支援期間の機能を利用するものであった、この“空間の距離”への新たなアプローチの理論化が研究の最終段階となる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

研究の最終段階での「地理的距離のある家族に機能するファミリーソーシャルワーク」のモデル生成においては、研究協力者にフィードバック可能なリーフレット等の作成を企図している。この編集作業において、研究協力者との情報交換・許諾の確認にやや時間を要した。

Strategy for Future Research Activity

既述のように、本研究においては被災やDVを体験し別居を余儀なくされている家族について、子どもから見た親と会う権利、あるいは、何等かの課題をかかえつつも、子どもにとって必要な資源である親との、「地理的距離のある家族関係の再構築」の必要性が明らかとなった。そこには、夫婦である親同士の関係が希薄化、途断していても、子どもが求めたり、必要としている親との関係を維持・再構築しうる「地理的距離のある家族に機能するファミリーソーシャルワーク」が機能すべきと考えている。
そこで、「地理的距離のある家族に機能するファミリーソーシャルワーク」を固有のアプローチとして汎用可能な形式にまとめ、実践現場で活用可能なリーフレットを作成し研究成果として公開したい。
併せて、これらの研究経過、並びに研究成果については、関係職能団体等の研修や学会などでの公開を企図している。至近なところでは、母子生活支援施設研究協議会の関東ブロックでの大会において研究成果の一部を公開する予定である。

Causes of Carryover

研究成果をリーフレットにまとめる予定であったが、研究協力者との確認・調整作業に時間を要し、編集作業に遅れが生じたため、次年度に編集・印刷作業を延長せざるを得ない状況となった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

リーフレットの編集・印刷費に使用の予定。

  • Research Products

    (3 results)

All 2017 2016

All Journal Article (2 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 「デンマークの子ども家族支援の現場を訪ねて」 -「ファミリーハウス」の実践に学ぶ-2017

    • Author(s)
      稲垣美加子
    • Journal Title

      『ソーシャルワーク実践研究』

      Volume: 第5号 Pages: 75-80

  • [Journal Article] 変革期にあるジェンダー福祉の挑戦 母子生活支援施設のソーシャルワーク実践とその隘路2017

    • Author(s)
      稲垣美加子
    • Journal Title

      『ソーシャルワーク実践研究』

      Volume: 第5号 Pages: 96-97

  • [Presentation] 「ビジョンに向けた新たな取り組み事例発表」2016

    • Author(s)
      稲垣美加子
    • Organizer
      第60回全国母子生活支援施設研究大会
    • Place of Presentation
      KFCホール
    • Year and Date
      2016-10-20
    • Invited

URL: 

Published: 2018-01-16  

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